次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE5G)はいったいどんな投資信託なのでしょうか。
THE5Gの評判・評価や今後の見通しはどうなっていくのでしょうか。実態について研究していきます。
他の投資信託については下記で解説していますので良ければそちらもご覧ください。


THE5Gはどんなファンド?
次世代通信関連世界株式戦略ファンドとは
次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE5G)とはどんなファンドなのでしょうか。
まずは基本的な情報を確認しておきましょう。
名称 | 次世代通信関連世界株式戦略ファンド |
---|---|
愛称 | THE 5G |
投資対象 | 株式 |
投資対象地域 | グローバル |
為替ヘッジ | なし |
次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE5G)は、全世界の中から名前の通り次世代の通信関連企業に投資するファンドです。
スマートフォンやデータセンターを支える半導体銘柄などが中心となっています。
これまでの運用成績とは?
それでは、次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE5G)のこれまでの運用成績はどうなっているのか確認してみましょう。

出典:マンスリーレポート
2017年に設定されて以来右肩上がりで成長しており、特に2020年のコロナショック以降急激に成長しています。
2021年には18,000円を超えており、4年弱で約1.8倍に伸びていることが分かります。
続いて、年度ごとに見てみましょう。

出典:交付目論見書
2018年まではマイナスでしたが、2018年以降は急成長しておりプラスが続いています。かなりの好成績ですね。
運用成績だけを見れば、次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE5G)の内容はかなり素晴らしいものとなっています。
それでは、本当に投資すべき価値はあるのでしょうか。本当の所を見ていきましよう。
THE5Gの実態とは?
運用成績にだまされるな
まず、運用成績が本当に素晴らしいのか考えてみましょう。確かに設定来の成績は右肩上がりで2018年以降は急成長しているように見えます。
ですが、ここで他の指数とも比較した結果も確認しておきましょう。

出典:ファンドレポート
こちらは2020年7月から1年間の世界株式との比較です。世界株式はMSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)です。
要は全世界の株式に投資するインデックスですが、世界株式が+41.1%なのに対して、THE 5Gは+39.0%と負け越しています。
つまり、THE5Gは手数料が高い代わりにインデックス以上の運用成績を目指すアクティブファンドでありながら、インデックスファンドに負け越しているのです。
これでは、THE5Gを選ぶ意味はないと言えます。
手数料の比較
念のため、手数料がどれくらい違うのかも確認しておきましょう。
THE 5G | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | |
購入時手数料 | 3.3% | なし |
信託報酬 | 年率1.848% | 年率0.1144% |
信託財産留保額 | なし | なし |
解約時の手数料(信託財産留保額)は両者かかりません。
しかし、購入時手数料はTHE 5Gが3.3%なのに対して、全世界株式はなしと、THE 5Gが3.3%も高くなっています。
さらに、信託報酬もTHE 5Gが年率1.7336%も高くなっています。
先程の運用成績をもう一度見てみましょう。

このように全世界株式に比べてTHE 5Gの方がリターンも小さく、さらに手数料も高いですのであえてTHE 5Gを選ぶ理由はないでしょう。
次世代通信関連世界株式戦略ファンドの運用戦略とは?
THE 5Gの投資地域とは?
ここまで見て来て過去実績的にはインデックスの方が優れていましたが、実績だけではなく運用の中身についても確認しておきましょう。
こちらは次世代通信関連世界株式戦略ファンドの投資先です。

出典:マンスリーレポート
55%以上を米国が占めていて2位の台湾は10%ですので、圧倒的に1位の米国が占めていることが分かります。
米国はここ数年の成長がすさまじいですが、株価が上昇し過ぎていて下落の危険性もあると言われています。
こちらが過去5年間の米国のPERの推移です。
2021年 | 39.4 |
---|---|
2020年 | 21.5 |
2019年 | 20.8 |
2018年 | 21.8 |
2017年 | 22.7 |
PERとは?
株価 ÷ 一株当たり純利益
数字が大きいと割高で小さいと割安を示す。割高なタイミングで投資すると大きく下落する危険性がある。
2017年~2020年の米国のPERは20程度でしたが、2021年のPERは39.4と2倍程度になっています。
つまり、いま米国株を買うと何かのきっかけ一つで半値になってもおかしくありません。
1000万円米国株を買ったとすると、これが通常のPER水準に戻るだけで500万円になってしまうかもしれないのです。
現在の米国株は非常に割高水準で暴落の可能性があるので危険です。
THE 5Gの構成銘柄とは?
念のため次世代通信関連世界株式戦略ファンドの構成銘柄も確認しておきましょう。
銘柄 | 国・地域 | 業種 | 比率 |
ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス | 台湾 | 情報技術 | 3.99% |
キーサイト・テクノロジーズ | 米国 | 情報技術 | 3.85% |
マーベル・テクノロジー | 米国 | 情報技術 | 3.52% |
アドバンテスト | 日本 | 情報技術 | 3.45% |
アナログ・デバイセズ | 米国 | 情報技術 | 3.43% |
マックスセンド・マイクロエレクトロニクス | 中国 | 情報技術 | 3.42% |
TモバイルUS | 米国 | コミュニケーション・サービス | 3.40% |
スナップ | 米国 | コミュニケーション・サービス | 3.27% |
セルネックス・テレコム | スペイン | コミュニケーション・サービス | 3.22% |
ノキア | フィンランド | 情報技術 | 3.18% |
このように上位10銘柄の内、半分は米国株となっています。
投資先の企業が悪いというよりは、次世代通信5Gに関する期待値が高まりすぎていて株価が割高になってしまっています。
投資先どうこうではなく、タイミングとしては今ではないかなと思います。
THE5Gの今後の価格はどうなる?見通しとは?
これまで見てきた通り、次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE5G)は決して悪いファンドではないです。
ただ残念ながら今は株価が上がり過ぎていて割高すぎる水準となっています。暴落する可能性もあり下降余地が大きくてかなり危険な状況です。
今売却して利益を確定するのであればいいですが、これから次世代通信関連世界株式戦略ファンド(THE 5G)を購入して参加するのはかなりいまいちです。
参考までにこちらの資金流出ランキングを見て下さい。

出典:日本経済新聞
こちらは、2021年10月末時点で過去1か月間の資金流出(解約)が多かった上位ファンドです。次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE 5G)は不名誉な2位にランクインされています。
利益を確定して退場している人が多い証拠に他なりません。今から参加はやめておいた方が良いでしょう。
まとめ
次世代通信関連世界株式戦略ファンド(愛称:THE 5G)に関してのまとめはこちらです。
- 次世代通信関連銘柄にグローバルに投資するファンド
- 2019年以降の運用成績は二ケタ成長
- ただし世界的に成長しており株式市場全体も急成長
- ここ1年の運用成績はインデックスファンドの方が優れている
- インデックスに負けるなら高い手数料を払う意味がない
- 投資先の50%以上を占めるのは米国株
- 米国株は平年の2倍程度の超割高水準
- 暴落の危険性もありこれから投資するのは危険
- 資金流出ランキングで2位にランクインするほど解約が多い
う~ん、やはり今から投資する魅力はないというのが結論です。
他にも日本の各種ファンドを研究分析した結果、おすすめできるファンドは下記ランキングにて紹介しています。
投資先をお探しの方は下記ランキングもぜひ参考にしてみて下さい。