終身雇用が当たり前の日本でも転職や早期退職が当たり前になってきました。
思い切って50歳で長く働いた会社を辞めようと思っている方もいるのではないでしょうか。
早期退職で人生を楽しんでいる方がいる一方で、残念ながらあまり上手くいっていない方がいらっしゃるのも事実です。
今回は早期退職で失敗してしまった方、50歳で早期退職した方の末路について学んでいきたいと思います。
また退職については別記事でも解説していますので気になる方はそちらもあわせてお読み下さい。
なぜ50歳で早期退職するのか
まずはなぜ50歳という若さで早期退職するのかという点から見ていきましょう。
主な理由は3つ考えられます。
- 仕事を続けるのがつらいから
- やめれば自由な時間が得られるから
- 退職金の割増制度を利用したいから
仕事を続けるのが辛い
一つ目の理由はシンプルに仕事がつらいからです。
「人間関係が大変。」
「出世の道が断たれてしまった。」
様々な事情で仕事をやめたいと考えている人は多いでしょう。
同じ職場の中で努力してもどうにもならないこともあります。そんな時は思い切ってやめてしまうのも一つの手だと言えるでしょう。
自由時間が得られるから
続いての理由は、完全に自由な時間が得られるからです。
言うまでもなく仕事をやめることで膨大な自由時間が得られます。
旅行や自分の趣味などこれまで我慢していたことに好きなだけ没頭できます。
50歳で早期退職して転職するという人も多いでしょうが、完全にフリーの時間を楽しむのもありかもしれません。
退職金の割り増し制度を利用したいから
最後の理由は割り増し退職金を得たいからです。
日本の会社はリストラをしたくても簡単に社員の首を切ることはできません。
そこで、人員整理をしたいときに退職金を多く払って早期退職者を募集することがあるのです。
会社としては退職金を多く払ってでも今後の人件費を減らすために社員を削減したいわけです。
自身の会社での状況にあわせてこういった早期退職者の募集に応募するのも一つの手段と言えるでしょう。
50歳で早期退職する人の割合は?
さて、ではこのような理由で50歳で早期退職している人はどれくらいいるのでしょうか。
厚生労働省による入職率と離職率の調査結果を見てみます。
出典:厚生労働省
離職率は19歳以下で一番高く、年齢が上がると共に右肩下がりで減少していきます。そして50-54歳で最低の5.6%を記録すると反転し、55-59歳でわずかに上昇し60-64歳で大きく上昇します。
つまり10代、20代のうちは転職がしやすいため離職率が高いですが、その後はどんどん減っていき定年を迎える前に辞める人は少ないです。
50歳でやめている人は最も少なく、50歳での早期退職はかなり果敢なチャレンジだと言えるでしょう。
50歳で早期退職したらもらえる年金額は?
続いて50歳で早期退職すると年金がいくらになってしまうのか見てみましょう。
年金は基本的には、誰もが加入している老齢基礎年金(国民年金)と会社勤めの人などが加入する厚生年金の2種類から構成されています。
これらは公的年金に該当し、いわゆる2階建てと呼ばれていますが個人や企業でさらに別種の年金を積み立てている場合もあります。
50歳でやめると基本の年金2種がどのようになるか考えてみましょう。まず国民年金の計算式はこちらです。
出典:老齢年金ガイド
10年早く辞めることになりますので
816,000円 × 30年/40年 = 612,000円
となります。
出典:ウェルスハック
こちらは年収によって貰える金額が異なってきますが、平均給与60万円(月額)の場合で考えてみましょう。
50歳で早期退職した際、加入期間は30年として考えてみましょう。
すると該当するのは124.61万円となります。先ほどの国民年金と合わせると185.81万円となります。
定年まで40年フルで支払った場合と比較してみましょう。
定年 | 227.35万円(100%) |
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50歳で退職 | 185.81万円(81.7%) |
50歳で早期退職した場合にもらえる年金は、定年まで働いた場合のざっくり80%ほどになりそうですね。
月額にすると15万円ほどになります。
50歳で早期退職した人のよくある末路3選
それでは50歳で早期退職したい人がどのような末路をたどるのか見ていきましょう。
起業で失敗
会社勤めを10年、20年と続けていくと、仕入れ先や販売先とのコネクションもでき会社の看板なしでもビジネスができるようになります。
ただ、どれだけ周到に準備した起業であっても何か一つでも条件が変わっただけで簡単にうまくいかなくなってしまいます。
私の知り合いのケースでは、商社に勤めていて早期退職し貿易会社を起業した方がいました。
商社時代のコネを活用し始めは上手くいっていたのですが、深い関係にあった海外の代理人が急遽ビジネスをやめることになりました。
代わりの人を紹介してくれたのですが、その方がなんとも言い難い方で、言うことは当たり前のように二転三転するし、約束は守らないしでとてもではないがビジネスを一緒にやることはできないと続行が不可能になってしまいました。
顧客の需要、販売先の状況、関係者、仕入れ先の状況、何か一つでも変わってしまえば簡単に崩壊してしまうのがビジネスです。
起業して成功することは簡単なことではないので十分に覚悟する必要があります。
資産運用でFIREしようとして失敗
退職金で2000万円、これまでに貯めた貯金で2000万円、合計4000万円の元手がある。
これを元手に資産運用で利回り15%で回せれば年間600万円の利益になる。手取りで480万円、月額40万円だから十分暮らせるはずだ。
このように考えて資産運用での退職を考える人もいるでしょう。
ですが当然ですが資産運用は簡単なものではありません。会社をやめてから始めてもまず成功しません。貯金だけ減らしてこれまでよりも条件の悪い就職口を探さなければならないのがオチでしょう。
再就職できずに失敗
50歳という年齢のハンデがあるとはいえ、条件を落とせば再就職先は見つかるはずだ。このように考えて早期退職を考える人もいるでしょう。
ですが自分が思う自身の価値と周りから見た市場価値に大きな差があることはよくあります。
こちらの転職入職率を見ても50-54歳の割合は非常に小さいです。
出典:厚生労働省
一般的に50歳の人はそれまで高い給与やポジションで働いてきているため、いざ条件を落とすとなると中々気持ちの面で難しいことが多いです。
私の知り合いの方も大企業で働いており50歳で就職先を探したのですが、1年ほど就職先が見つからず、そのあいだ妻や子供との関係もあまり良くなかったようです。最終的には元上司のつてをたどってどうにか再就職していました。
50歳という年齢での再就職は、お互いの条件がマッチせずすぐに決まらないことが多いので注意してください。
50歳で早期退職/FIREしようと思ったらいくらあればやめられる?
それでは貯金がいくらあれば安心して早期退職、FIREできるのでしょうか。
総務省が調査報告を出しています。
総務省統計局「家計調査 家計収支編(年次間) 2022年」より
2人以上(勤労世帯) | 43万7,368円 |
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2人以上(無職世帯) | 27万4,007円 |
それぞれ勤労世帯と無職世帯でそれぞれ43万円、27万円となっています。
50歳から日本人の平均寿命84歳までの35年間生きる場合で考えてみましょう
勤労時と同じ生活水準 | 1億8,369万円 |
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リタイア世代の生活水準 | 1億1,508万円 |
一方、収入に関しては年金だけだとすると合計はこちらです。
年金(65-84歳) | 3,716万円 |
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差し引きすると、貯金や退職金で補う必要のある金額はこちらになります。
勤労時と同じ生活水準 | 1億4,653万円 |
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リタイア世代の生活水準 | 7,792万円 |
これだけの金額を貯金などで用意するのは、かなり大変ですよね。
50歳になる前、30代、40代のころから貯金しつつ資産運用で増やしていくなど計画的に準備していくことが重要です。
いずれにせよどうしても50歳で早期退職を実現したいならこれだけの金額は用意する必要があるという事実はきちんと認識しておくべきでしょう。
50歳で早期退職を実現した事例
私の知り合いで実際に50歳で早期退職した方がいらっしゃいます。
その方は独身で、普段の食事でもスーパーのタイムセールのお弁当を買うなど非常に倹約されている方でした。
独身ですと生活費は次のようになります。
月あたり | 16万7,620円 |
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50-84歳 | 7,040万円 |
年金収入 | 3,716万円 |
必要貯蓄額 | 3,324万円 |
退職金は2,000万円以上出ていると思いますので、貯金が1,324万円必要になりますがあの方の生活を見ているともっと多くの貯金があったと思います。
このくらいの貯金額であれば比較的容易に実現できそうですね。
すなわち月額16万円程度に生活費を抑えられれば、50歳での早期退職/FIREができそうですね。
とはいえ、月々の生活費を16.7万円に抑えるというのは実際にやろうとするとかなり難しい気もします。少なくともご家族がいるとあまり現実的ではないのでしょうか。
50歳で早期退職/FIREするのはいずれにしても簡単な道のりではありません。ですが、実現は可能です。
- 貯金と資産運用と退職金で7,792万円~1億4,653万円を作る
- 月額16万円ほどに生活費を抑える
多くのお金を貯めるのか、月々の生活費を減らすのか、ご自身にあった計画を立ててきちんと実行していくこととが重要です。
具体的な資産運用の方法については別記事や下記のランキング記事で解説していますので良ければそちらもチェックしてみて下さい。