このように考えて高配当ETFを検討している人も多いのではないでしょうか。
ですが、結論から言うと日本国内、米国ともに高配当ETFはおすすめしないです。
本記事では、高配当ETFの特徴を分析し、なぜ儲からないのか解説していきます。
高配当ETFを検討している人は参考にしてみて下さい。
また、他にもおすすめしない資産運用について解説していますので良ければ合わせてお読みください。
高配当ETFってどんなもの?
ETFって何?
まずは、高配当ETFがどんなものかから確認しておきましょう。
そもそもETFとは日本語では「上場投資信託」といい、日経平均やTOPIXなどの株価指標に連動するように運用されるファンドです。
インデックス投資となるため手数料が安く、さらに上場しているため株とかと同じように自由に売買できるのが特徴です。
そして、高配当ETFですので、高配当銘柄を集めたインデックスに投資するのが運用内容となります。
高配当指数にはどんなものがある?
それでは、高配当ETFはどんな指数に連動しているのでしょうか。
例えば以下のようなものがあります。
- 日経平均高配当株50指数
- 日経連続増配株指数
- 日経累進高配当株指数
- 野村日本株高配当70
- 野村株主還元70
- FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス
- S&P500クオリティ高配当インデックス
そして、こういった指標に連動するように運用されているのが高配当ETFとなります。
投資先の銘柄はどんな企業?
日経平均高配当株50指数とは
実際にどんな所に投資してるのかもう少し詳しく見ていきましょう。
もちろん指数によって組み込んでいる銘柄は異なりますが、今回は「日経平均高配当株50指数」について見ていきましょう。
日経平均高配当株50指数は、日経平均株価に採用されている225銘柄のうち予想配当利回りが高い50銘柄で構成されている指標となっています。
配当利回りが高い銘柄で構成されているため、こちらの予想配当利回りは4.0%(2023/8/31)と高い水準となっています。
投資先の上位10社
実際の投資先企業は、定期定期な入れ替えもありますが概ね決まっています。
上位10社の銘柄はこちらです。
(2023年8月31日時点)
社名 | 業種 | 比率 |
川崎汽船 | 海運 | 4.63% |
商船三井 | 海運 | 3.78% |
日本製鉄 | 鉄鋼 | 3.77% |
INPEX | 鉱業 | 3.53% |
ソフトバンク | 通信 | 3.34% |
三菱UFJファイナンシャル・グループ | 銀行 | 3.26% |
みずほファイナンシャルグループ | 銀行 | 3.22% |
JFEホールディングス | 鉄鋼 | 3.18% |
日本郵船 | 海運 | 3.13% |
日本たばこ産業 | 食品 | 3.12% |
大手海運3社が全てトップにランクインしていますね。
これは、コロナ後の特殊環境で物流需要が急激に高まり海運業界のコンテナ船が大幅な利益を上げたため、多額の配当が支払われたからです。
しかし、海運業界は元々株価の値動きも激しくギャンブル性の高い銘柄です。安定配当のために高配当ETFを検討している人にとっては、投資したい銘柄と真逆の特徴なのではないでしょうか。
高配当ETFをおすすめしない理由
高配当ETFを検討している人は恐らく不動産に近いイメージがあるのではないでしょうか。
「不動産を保有して家賃で生活」
⇒「高配当ETFを保有して分配金で生活」??
ただし、実際は株価が値下がりすることもあれば配当金がなくなってしまう事もあります。家賃で安定収入という不動産のイメージとは全くの別物です。
そもそも株式での運用は、リターンが「株価の値上がり益」+「配当金」となっています。
配当金目当てに投資すること自体に本質的にあまり意味がないのです。
そしてさらに言うなら、配当金は多くても年間4%程度であるのに対して、株価は簡単に10%、20%といった単位で変動します。
リターンを構成する要素のうち、「株価の値動き」の方が「配当」よりも全然大きいのです。
つまり、どちらかを重要視するのであれば、配当が多く出る銘柄よりも株価が伸びていきそうな銘柄に集中投資すべきなのです。
高配当ETFの3つのデメリット
高配当ETFをおすすめしない理由はこれまで見てきた通りですが、追加で3つのデメリットについても解説しておきます。
①配当金が減るリスクもある
配当金ですが、毎年固定ではなく企業の業績によって変動します。
それもかなり大きく変動します。例えば先程の日経平均高配当株50指数に組み込まれている商船三井を見てみましょう。
出典:商船三井
少ない時は0円から一番良い時は560円にまで上がっています。もちろん、2021年以降はかなり特殊な状況で配当金が多かったというのはあります。
ただ、それらの年を除いても0円から103円までブレがあるのです。
配当金が減ってしまうリスクは思っていたよりも大きかったのではないでしょうか。
高配当ETFにおいて投資の根拠となる「配当利回りが高い」という状況は簡単に変わるものなので注意が必要です。
②高配当ETFでは再投資できない
これまでに何度も登場してきましたが、複利と単利の話です。
複利では、投資で増えた分を元手として再投資し、爆発的に利益を増やしていくことができます。
例えば年利10%で1000万円を運用した場合、驚くべき差が生まれます。
複利 | 単利 | |
運用開始時 | 1000万円 | 1000万円 |
10年後 | 2594万円 | 2000万円 |
20年後 | 6727万円 | 3000万円 |
30年後 | 1億7449万円 | 4000万円 |
30年後には1億3千万円以上の差が生まれています。
資産運用において、複利を選ぶことは絶対なのです。
しかしながら高配当ETFでは自動的に分配金が支払われてしまうためこの複利の効果を得ることができません。
③為替リスク
高配当ETFは日本国内だけでなく米国などの商品もあります。
そして、海外ファンドに投資をする際に気を付けたいのが為替リスクです。
海外の商品は現地通貨建てで投資することになるので、投資を始めた時と止める時の為替レートによっては、運用でリターンをあげてもトータルマイナスになってしまう事があるのです。
出典:JTG証券
このように投資を始めた時から20%円安になると20%の利益が出ますし、20%円高になると20%の損失が出ます。
高配当ETFの利回りは4%程度の水準ですが、為替の動きは年間4%より大きく動くことはよくあります。
つまり、外国の高配当ETFに投資すると、結局儲かるかどうかは為替次第となりギャンブルになってしまうのでおすすめしません。
これまで見てきた通り、高配当ETFはおすすめしません。
他にも良い投資先はたくさんありますし、下のランキング記事で解説しています。投資先をお探しの方はそちらもぜひチェックしてみて下さい。