バイオ関連の投資信託としてピクテ・バイオ医薬品ファンドは人気を集めています。
ただ一方でテーマ型投信はやるべきではないという意見があるのも事実です。
果たして、ピクテ・バイオ医薬品ファンドには投資すべきなのでしょうか?やめた方が良いのでしょうか?掲示板での評判や口コミも踏まえて解説していきます。
また、別記事でも投資信託について解説していますので、よければそちらもご一読ください。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドの特徴とは
ピクテ・バイオ医薬品ファンドの運用戦略とは
まずはピクテ・バイオ医薬品ファンドがどんなファンドなのかから見ていきましょう。
このファンドは世界主要市場のバイオ医薬品関連企業に投資します。高い成長を狙えるバイオ業界に絞って投資することで資産の成長を目指します。
出典:交付目論見書
上図のように30-80銘柄ほどのバイオ関連企業に集中投資していくことになります。
選べる3つのコース
そして、ピクテ・バイオ医薬品ファンドには3つのコースがあります。
- ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース(1960億円)
- ピクテ・バイオ医薬品ファンド(1年決算型)為替ヘッジなしコース(110億円)
- ピクテ・バイオ医薬品ファンド(1年決算型)円コース(20億円)
それぞれ決算の頻度と為替ヘッジがあるかないかで3つのコースに分かれています。
一番人気なのは2000億円ほどを運用している「毎月決算型、為替ヘッジなしコース」です。
こちらは毎月分配金が貰えるため、配当狙いで運用している人も多くいます。他の2つに比べて圧倒的に人気なので今回はこちらのコースをメインに解説していきます。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドの掲示板での評判とは
それでは、ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコースの評判はどうなっているでしょうか。
実際に運用している投資家の口コミをYahoo掲示板で確認していきましょう。
出典:Yahooファイナンス
こちらは基準価格を予想しているコメントです。為替ヘッジはされていないので円安になれば基準価格は上昇しますし、逆に円高になれば下落します。
また、毎月分配金を出しているためその分配金の分も基準価格は下落します。
先ほど運用戦略のところでバイオ業界に絞っているためハイリスクハイリターンと述べましたが、さらに為替リスクまでとっているため非常にハイリスクと言えそうです。
出典:Yahooファイナンス
こちらは分配金に関する口コミです。分配金には普通分配と特別分配の2種類があり、運用の利益から配当するのが普通分配、元本を切り崩しつつ配当するのが特別分配となっています。
今月から普通分配になったということは、これまで元本から切り崩して配当していたが、今月は運用がうまくいって利益が出たから、その上昇分から配当できるという意味になります。
毎月、分配金に相当する利益を出すことは非常に難しく、頻繁に特別分配金となるのも仕方がないのかもしれません。ですが、高い手数料を払って自分のお金が元本から返ってくるだけでは、わざわざこちらのファンドで運用する意味はないとも言えます。
出典:Yahooファイナンス
他の有名どころの投資信託と相関が薄いので分散投資になるという意見ですね。
特に他の投資信託を意識してヘッジするように作られたわけではないので、分散投資として選ぶのはどうかな?と思う部分もありますが、ある程度機能するタイミングもあるのかもしれません。
全体としては、掲示板のコメント数も多く盛り上がっています。また、前向きな意見が多く、荒れている様子もないので、ピクテ・バイオ医薬品ファンドの掲示板での評判や口コミは上々だと言えそうです。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドの手数料は高い!?
では、続いて手数料についてもチェックしておきましょう。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドはバイオ関連株式に投資するアクティブファンドです。同様のカテゴリーのアクティブファンドと手数料を比較してみましょう。
グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープン | 米国バイオ&テクノロジー株オープン | ピクテ・バイオ医薬品ファンド | |
購入時手数料 | 最大3.3% | 最大3.3% | 最大3.3% |
信託報酬(実質) | 年率2.42% | 年率1.815% | 年率2.09% |
解約手数料 | 0.3% | なし | なし |
購入時手数料はすべて同じですが、信託報酬はグローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンが一番高く、米国バイオ&テクノロジー株オープンが一番安くなっています。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドはその間に収まっていますね。解約手数料はグローバル・ヘルスケア&バイオ・オープン以外なしとなっています。
こうしてみるとピクテ・バイオ医薬品ファンドの手数料は、同じ種類の投資信託の中では特別高いわけでも特別安いわけでもなく、一般的な水準だと言えそうです。
ただアクティブファンドですので、インデックスファンドなどの手数料が安いファンドと比べると当然高くなっています。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドの投資先トップ10!
それでは、実際にピクテ・バイオ医薬品ファンドがどんな企業に投資しているのか見ていきましょう。
(2024年4月30日時点)
No. | 銘柄名 | 比率 | 概要 |
1 | ギリアド・サイエンシズ | 8.3% | HIVやC型肝炎など感染症治療薬の分野に強みを持つ |
2 | アムジェン | 8.2% | 関節リウマチ、骨粗しょう症の治療薬などが中心のバイオ医薬品関連企業 |
3 | リジェネロン・ファーマシューティカルズ | 7.8% | がんなどの治療薬の研究開発を手掛ける |
4 | バーテックス・ファーマシューティカルズ | 7.5% | 治療法がないもしくは限られた疾患に向けた治療薬の研究・開発 |
5 | モデルナ | 4.6% | 新型コロナやがんなどに対するワクチンや治療薬の研究開発 |
6 | バイオジェン | 4.5% | 神経系領域におけるリーディングカンパニー |
7 | アストラゼネカ | 3.9% | がん・循環器・呼吸器など幅広い分野において医療用医薬品の創薬、開発、販売を行う |
8 | サノフィ | 3.5% | グローバルに事業を展開する製薬企業 |
9 | インサイト | 2.9% | がん領域を中心に医薬品の開発、製造、販売を行う |
10 | イルミナ | 2.7% | 遺伝子の大規模解析のための次世代シークエンサーやそれに伴うサービスなどを提供 |
当たり前ですが、バイオ関連の企業に集中投資されていてこれぞテーマ型投信というポートフォリオとなっています。
組み入れ銘柄数は51でまとまっており、国別構成比でみると米国が87%と圧倒的ボリュームを占めています。
やはり、当初から懸念していたハイリスクハイリターンという印象はぬぐえませんが、このような運用をした結果、これまでの運用成績はどうなっているのか見ていきましょう。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドの運用成績とは
設定来の運用成績
まずは、設定来の運用成績をチェックしてみましょう。
出典:月次報告書
赤色の基準価格(分配金再投資後)は大きく上昇していることが分かりますね。
ただし、実際には分配金を出していますので、基準価格の推移は灰色の線となります。10,000円程度となっており開始時とほぼ変わらないことが分かりますね。
基準価格だけ見ても良くわからないので、分配金についても見てみましょう。
分配金は運用を失敗に導く
これまでの分配金はどうなっているのでしょうか。
出典:月次報告書
毎月150円ずつ配当していることが分かりますね。最近の基準価格で見ると1.5%程度に相当しますからかなり高い割合で分配金を出しています。
各所で指摘されていることですが、分配金を出す投資信託は非常に運用効率が悪くなってしまうため選んではいけません。
出典:マネックス証券
このように福利の効果を使えないので運用でお金を増やすことが非常に難しくなってしまうのです。
そして、特別分配金を出すようになると元本が減るため、資産を回復させることはより困難となっていきます。
こちらのファンドに関して言えば、運用に関しては上手くいっており、基準価格が1万円程度で累計分配金が23,240円ですので約20年で+230%ほどの利益が出ていそうです。
しかしながら、分配金再投資した場合の赤い基準価格を見ると5万円を超えていることが分かります。分配金を出さなければ+400%以上になっていたということですね。
いかに分配金を出すことが運用効率を損なうか実感できたのではないでしょうか。
ただ、そうはいってもこれだけ上昇していれば悪くないように見えますね。
たまたまマーケット全体が成長したのか、ファンドのポートフォリオがすごかったのか確かめるためにインデックスとも比較してみましょう。
マーケットと比較してみる
こちらのファンドはほとんどが米国に投資しているため、米国の代表的なインデックスであるS&P500と比較してみましょう。
ここ3年の比較結果はこちらです。
- ピクテ・バイオ医薬品ファンド +33%
- S&P500 +87%
両方ともプラスにはなっていますが、ピクテ・バイオ医薬品ファンドはS&P500に大きく負けていることが分かります。
つまり、ピクテ・バイオ医薬品ファンドでは、バイオ医薬品関連銘柄に集中して投資したところ、マーケットを大幅に下回る結果となってしまいました。
ピクテ・バイオ医薬品ファンドの今後の見通しは?
それでは、今後のピクテ・バイオ医薬品ファンドはどうなっていくのでしょうか。
まず大前提として、テーマ型投信が他のファンドより良い運用成績を残せるのはそのテーマ自体が伸びていく時だけです。
しかしながら、テーマ型投信はその特定の業界が盛り上がって初めて組成されますのですでにピークかその付近の株価であることが多いです。
そのため、一般的にテーマ型投信は組成された時がピークでその後は値下がりしやすいのです。
わざわざ割高な投資信託で運用してハイリスクをとらなくても、もっと安全にリターンを期待できる運用先はあります。
個人的に研究しておすすめできるファンドは下記ランキングにまとめてありますので投資先をお探しの方はそちらもぜひチェックしてみて下さい。