全世界株式(オールカントリー)への投資は、よく初心者におすすめされますし人気のある投資です。
雰囲気的にも全世界に投資しておけば何となく間違いないんじゃないかな!という気がしてしまいますよね!
ですが、投資初心者の方は要注意です。全世界株式(オールカントリー)はおすすめしない!という意見もあるのです。
実際どちらの評判が本当なのか?本記事で詳しく検証していきます。全世界株式(オールカントリー)への投資を検討している方はぜひ参考にしてみて下さい。
また、他の資産運用方法についても別記事で解説していますので良ければそちらもご参照ください。
全世界株式(オールカントリー)とは
では、まずそもそも全世界株式(オールカントリー)への投資とはどんなものなのでしょうか。
株式投資の世界ではインデックスと呼ばれる株価指数があり、日本で有名なものだと「日経平均」や「TOPIX」があります。
これらは日本の株式市場の動きを表すインデックスですが、同様に世界中の株式市場の動きを表すインデックスがあり、これに連動するように運用されるのが全世界株式(オールカントリー)への投資となります。
有名なインデックスだと「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」などがあります。
どのインデックスを採用するにせよ、概ね世界全体の株式市場の動きに合わせて上下する運用手法となります。
全世界株式(オールカントリー)の評判は?
多くの人が支持!?
全世界株式(オールカントリー)に関する議論が活発な理由はズバリ人気があるからです!
例えばSBI証券の【投資信託販売金額】人気ランキングを見てみましょう。
出典:SBI証券
このように堂々の1位をとっております。
全世界株式(オールカントリー)のファンドを多くの人が支持しているのは間違いないですね。
みんながやっている正統派の投資と言えるでしょう。
掲示板での評判はどう?
続いて実際に投資している人の口コミが見れる掲示板での評判も見ていきましょう。
今回はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のYahooファイナンス掲示板を見てみます。
出典:Yahooファイナンス
こちらは、ファンドが値上がりしているため昔からやっていれば利益が出たのに!と思っている人の口コミですね。
ファンドが調子よくて興味はあるけどすでに値上がっている今から参入するのはちょっと迷う、といったところでしょうか。
資産運用のあるあるですよね!
出典:Yahooファイナンス
続いては、値下がりに対するコメントです。仮に一日や数日下がったところで少し待てば回復するはずというコメントですね。
評判があまりよくない投資信託だと値下がりすると割と過激なコメントが見られたりもするのですが、こちらの口コミにはファンドに対する信頼と余裕が感じられますね。
総じて口コミも活発でポジティブなものが多く、全世界株式(オールカントリー)に対する掲示板での評判は良いと言えそうです。
全世界株式/オルカンが選ばれる理由
続いてなぜ全世界株式/オルカンは多くの人に選ばれているのでしょうか。
それは、分散投資の代表例と言えるからです。なにせ世界中の株式に投資するわけですから。
米国などの先進国はもちろん新興国株式にも投資をしていきます。
仮にこちらのファンドが値下がりしたら、世界中の株式が全体的に下がっているわけですからそれは仕方ないという考え方もできるでしょう。
いずれにせよ世界中への分散投資によるリスク分散ができる、というのが選ばれる理由だと言えます。
たくさんの投資信託が販売されている
さて、ここまで全世界株式(オールカントリー)と言ってきましたが、実はこういった資産運用を行う投資信託は数多く販売されています。
世界中の株式市場の動きを表すインデックスが何種類かあったり、いろんな会社が同様の商品を作って販売しているためです。
全世界株式ファンドの例
- eMAXIS slim 全世界株式(オールカントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- ニッセイ世界株式ファンド
- たわらノーロード全世界株式
- SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド
- Vanguard Total World Stock Index Fund ETF
基本的には大きな違いはなく、手数料が微妙に変わってくる程度です。
全世界株式(オールカントリー)に投資したい場合は、こういったファンドの中から手数料が安いものを選んでもいいかもしれませんね。
ただ、本記事ではこれらの中からどれが良いか?という話ではなく、「全世界株式(オールカントリー)に投資する」という運用プランがそもそもどうなのかについて検討していきたいと思います。
全世界株式(オールカントリー)をおすすめしない!という判断は妥当なのでしょうか。
よく言われるおすすめしない人の意見
人気を集めている一方で、全世界株式(オールカントリー)をおすすめしない声は確かにあります。
その理由は主に次のようなものです。
S&P500に投資した方がいい
一番よく言われるのはS&P500に投資いた方が良いんじゃない?という意見です。
なぜなら、S&P500の方がリターンが高いからです。
こういった意見ですね。eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を例に直近のリターンを比較してみましょう。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) +65.82%
S&P500 +87.14%
確かにS&P500の方がリターンは高くなっていますね。
ただし、これは過去の実績がそうだったというだけで、将来の利益が必ずしもS&P500の方がいいということを意味するわけではありません。
リスク分散になっていない
続いて、よくされる指摘は実はリスク分散になっていないのでは?という意見です。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を比較してみましょう。
こちらのグラフを見てみるとオレンジ色のS&P500が下落したときに、同様にピンク色の全世界株式も下落していますよね?
結局、米国株が下がると全世界株式も下がってしまうのではリスク分散になってないのでは?ということなのです。
さらに、少し難しい話になりますが、資産運用でリスクを表す標準偏差(リスク)も見てみましょう。
数字が大きければリスクが大きいことを意味します。
全世界株式 | S&P500 | |
標準偏差(5年) | 16.35 | 17.16 |
シャープレシオ(5年) | 1.06 | 1.25 |
この結果を見ると、確かに全世界株式の方が若干はリスクは小さいですが同程度です。
さらに運用効率を表すシャープレシオを見るとS&P500の方が大きくなっています。
つまり、S&P500の方が大きく値上がりしたからこそ、値動きの大きさを表す標準偏差(リスク)も大きくなっているのです。
確かに、これらを見ると全世界株式の方がリスク分散になるとは言えなそうです。
結局、全世界株式はおすすめ?おすすめしない?
では、結局のところ全世界株式はおすすめできるのでしょうか。それともできないのでしょうか。
結論としては、やっぱりおすすめしないです。理由は2つです。
①為替リスクが大きい
全世界株式(オールカントリー)は新興国を含めた世界各国に投資します。
そのため、米ドルだけでなく新興国の通貨にも投資をすることになり、通常の海外投資よりも為替リスクが大きいです。
為替は誰にもコントロールできませんし、予測することさえ難しいです。
「為替リスクをとる」ということは「運に任せたギャンブルをする」と同義だと言えます。
とてもではないですが、大きな為替リスクをとることをおすすめできません。
②中途半端な運用戦略
また、全世界株式(オールカントリー)への投資は、運用プランが明確でないと感じます。
リスク分散になるからというあいまいな理由で投資するのはよくありません。
〇・・・世界中の株式が上昇する自信があるので投資する
×・・・リスク分散になるから投資する
×・・・何となく世界中に投資しておけば間違いなさそう
×・・・みんなやっているから投資する
資産運用においては、投資先が上昇する明確なプランを持ったうえで初めて投資するべきだと言えます。
まとめ
最後に全世界株式(オールカントリー)についてまとめてみます。
- 全世界の株式市場に投資する
- 人気はある
- が、何となく投資している人が多い
- 思っているほどリスク分散にならない
- 新興国に投資するため為替リスクも大きい
- 資産運用では明確な投資プランを持てて初めて投資するべき
決してすごく悪いわけではないですが、すごくいい投資でもありません。何となく投資というものを経験してみたいという人にはいいかもしれませんが、運用で資産を増やしたい人は別の方法が良いでしょう。
株式市場全体に広く薄く投資するインデックスファンドではなく、自分たちオリジナル運用プランで投資するファンドはたくさんあります。
個人的に良いと思ったファンドについては下記のランキングでまとめていますので、投資先をお探しの方はよければそちらもチェックしてみて下さい。