ハイテク企業の株価が上昇していることを受けてナスダック100(NASDAQ100)が注目を集めています。
その中で、「ナスダック100はおすすめしない」、「NASDAQ100はやめとけ」という意見もあります。
果たしてナスダック100は投資に値する運用先なのでしょうか?詳細に分析して解説していきたいと思います。運用を検討している方は参考にしてみて下さい。
また、別記事でも資産運用について解説していますので気になる方はそちらもあわせてご覧ください。
ナスダック(NASDAQ)100とは
ナスダックって何?
まずはナスダック100がどんなものなのかから確認しておきましょう。
ナスダック100とは米国のナスダック市場に上場している銘柄のうち、時価総額上位100銘柄で構成される株価指数です。
ただし、金融企業は含まれません。なので有名どころだとバークシャーハサウェイなどが含まれない形となってきます。
という訳で、ざっくり言うと金融企業以外で米国の代表的な100銘柄を集めたと指数となっています。
S&P500の違いとは
米国の株式市場の動きを表す有名な株価指数としては、S&P500も有名です。
ではナスダック100(NASDAQ100)とS&P500ではどんな違いがあるのでしょうか。
主な違いをまとめるとこちらになります。
出典:SBI証券
ナスダック100の大きな特徴としては銘柄数が100と絞られているのとハイテク株が中心であることが挙げられます。
また、S&P500が米国企業に絞られているのに対して、ナスダック100は米国以外の企業も対象です。
では、このような特徴を持ったナスダック100のこれまでの運用成績はどうなっているのか見てみましょう。
ナスダック100(NADAQ100)の運用成績
運用成績の推移
ナスダック100に連動している投資信託はいくつかありますが、今回は「eMAXIS NASDAQ100インデックス」を取り上げてみます。
出典:交付目論見書
最大67.2%のプラスがある一方で損失が出る時も最大23.2%のマイナスとハイリスクハイリターンです。
日本株や新興国株よりも振れ幅が大きくなっておりボラティリティの高さがうかがえます。
平均値で見れば24.9%のリターンと素晴らしい値が出ていますが、他の指数と比べてどうだったのでしょうか比較してみましょう。
他の指数との比較
代表的な株価指数である下記の指数と比べてみます。
トータルリターン | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) |
NASDAQ100 | 29.31% | 20.49% | 27.26% |
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス | 25.41% | 17.73% | 18.85% |
S&P500 | 30.22% | 21.52% | 22.40% |
TOPIX | 20.31% | 13.70% | 12.29% |
5年(年率)で見ると他の指数を大きく引き離して1位となっており、1年、3年で見てもS&P500とほぼ同程度となっています。
ナスダック100(NASDAQ100)の運用成績は非常によく、少なくともこれまではすばらしい実績を残していることが分かります。
なぜナスダック100(NASDAQ100)はやめとけと言われるのか?
さぁこれだけの運用成績を残しておきながら、なぜナスダック100はやめとけ、おすすめしないという声があるのでしょうか。
これには主に3つの理由があります。
理由①ハイリスクハイリターン
これまで良い運用成績を残していることは間違いありませんが、同時にハイリスクであることも確かです。
年によっては20%以上下落した年もあり、そういったタイミングでも保有し続けられる胆力が必要です。
投資に慣れている人やハイリスクハイリターンが好きな人には問題ありませんが、安定運用が好みの方や投資初心者の方には向いてないと言えます。
理由②為替リスク
続いての理由は為替リスクです。
ナスダック市場の上位100銘柄に投資しますので、日本円ではなくドル建てでの投資となります。
為替はボラティリティが非常に大きく誰にも予測することができないのでギャンブルだと言われています。
参考のため近年の推移を見てみましょう。
出典:Yahooファイナンス
なんと3年で50%ほど動いています。この期間は円安に動いたから日本人にとってはプラスに作用していますが、もしドル円が100円ほどに戻ったらどうでしょう。
損失が30%ほど発生することになるのです。
今がすごい円安であることを考えると、今後は円高に推移して損失が発生しやすいと考えるのが自然でしょう。これからナスダック100を始めるのは良い選択とは言い難いです。
理由③手数料が安くない
また、ナスダック100のインデックスファンドは手数料が高いと指摘する声もあります。
表にしてみると結果はこちらです。
eMAXISシリーズでの比較
ナスダック100 | 0.20350% |
---|---|
S&P500 | 0.09372% |
オールカントリー | 0.05775% |
TOPIX | 0.143% |
先進国株 | 0.09889% |
こうしてみると確かにナスダック100の手数料が一番高くなっていますね。
せっかく手数料が安いインデックスに投資するのであれば、わざわざ高いファンドを選ぶ必要はないということでしょう。
NADAQ100はやめとけという意見があるのも納得ですね。
ナスダック100はどうなる?今後の見通しとは
ポイント①金利の動向
さぁ最後に結局ナスダック100に投資して良いのか?やめた方が良いのか?
今後の見通しを検討しておきましょう。
どれだけこれまでの運用成績が良くても今後のパフォーマンスが振るわないのでは意味がないですからね。
そして、今後を考えるにあたって重要なのは米国の金利です。
ナスダック100の構成銘柄はハイテク株が中心であり、ハイテク株は金利が高いと成長がしにくい上に株価が低評価になりがちです。
ここで米国金利の推移を見てみましょう。
出典:SBI証券
コロナショック後はインフレに伴い右肩上がりで上昇しています。
2022年に大きく金利が上昇していることが分かりますが、この年のナスダック100のパフォーマンスはどうなったのか確認すると-23.2%と大きなマイナスとなっています。
そして、今後もしばらくはこの高い水準の金利が続くと予想されていますのでナスダック100にとっては厳しい環境が続くと思われます。
今からNASDAQ100を始めるのはおすすめしないです。
ポイント②現状の株価
また、もう一つの観点としてPERという株価指標があります。
PER = 株価 ÷ 一株当たり純利益
数字が大きいと株価が割高であることを表し、数字が小さいと株価が割安であることを表します。
では、ここでナスダック100のPER推移を見てみましょう。
出典:MacroMicro
20から30ほどで推移していることが分かります。
現在のPERは大体26ですが、ここ10年間の平均PERは22となっています。
つまり、約20%ほど割高な水準となっており、企業の業績が変わらなくても20%程度株価が下落することは十分ありえます。
投資の鉄則は割安な価格で投資することです。やはり、今からナスダック100への投資を始めるのはおすすめしないです。
私が個人的に分析して良いと思ったファンドは下記ランキングで紹介していますので投資先をお探しの方はそちらも参考にしてみて下さい。