2020年のコロナの前と後で、働き方は大きく変わりました。
会社に出社するのが当たり前の時代から、リモートワークが主流の時代、そしてコロナが落ち着いたことを経てまた出社を義務付ける企業も増えてきています。
電車を使う人も増えていますが、なぜJR東日本の株価はそこまで上がっていないのでしょうか。
本記事ではJR東日本を詳細に分析していきます。JR東日本への株式投資を検討している方は参考にしてみて下さい。
また、個別株については別記事でも解説していますので気になる方はそちらも参考にしてみて下さい。
JR東日本はこんな会社!事業概要をチェック
まずはJR東日本がどんな会社なのかから見ていきましょう。
もともと日本の鉄道事業は国が事業運営しておりましたが、1987年に民営化されてJR東日本は発足しました。
名前の通り、東日本を管轄していて営業エリアは次の図のようになっています。
出典:JR東日本
青森から山梨や静岡のあたりまでが営業エリアとなっていますね。
日本の中心ともいえる東京の運輸を担っているわけですから、非常に重要な役割を果たす企業となっています。
そして、実は鉄道以外の事業にも力を入れています。
出典:JR東日本
モビリティとして鉄道事業が、生活ソリューションとして流通サービスや不動産・ホテルなどが展開されていて、生活ソリューションだけで営業収益の30%程度を占めています。
JR東日本の株価の推移
では、続いてJR東日本の株価の推移について見ていきましょう。
出典:日本経済新聞
2015年から2020年にかけては3000円~4000円程度、概ね3500円付近で推移していましたが、2020年のコロナにより2000円ほどまで暴落しました。
そこから徐々に株価が上昇してはいますがようやく3000円に達したところで、コロナ前の水準の3500円には戻っていません。
これが「JR東日本の株価はなぜ上がらない?」と言われている理由でしょう。
ではこの状況について分析するため、JR東日本の業績について見ていきましょう。
JR東日本の業績の推移
体感的にはJR東日本の電車を使う人は以前のように多い気がしますが、実際の売り上げとしてはどうなっているでしょうか。
JR東日本の収益状況について確認していきましょう
運輸事業と生活ソリューションそれぞれの営業損益とその合計はこちらです。
出典:JR東日本より著者作成
まず黄色の営業損益全体としてはコロナが発生した2019年度から減少し、2020年・2021年は大きく落ち込んでいます。
2022年から黒字となりましたが、2023年においてもコロナ前の水準は回復していません。
運輸事業は2020年~2022年にかけて赤字となり、ようやく2023年に黒字に戻しました。
業績の推移を見てみると、思ったようには回復していないことが分かります。コロナ前の利益水準に戻せていないというのが、JR東日本の現状なのです。
なぜJR東日本の株価が上がらないのか?
さぁ、ではなぜJR東日本の株価は上がらないのでしょうか?
株価は基本的には企業の利益に連動しますので、先ほど見たように利益が戻っていないというのが一つの要因だと言えそうです。
また、株式投資ではPERという指標があります。
PERは「株価÷一株当たり純利益」で算出されますが、その企業の人気を表しており、同程度の企業でも株価が2倍、3倍違うという事はよくあります。
一般的には日本企業の平均PERは15程度と言われていて、業界にもよりますが10~30程度の企業が多いのではないでしょうか。
ハイテク関連株のように人気があって一種のブームのようになると100近くになることもあります。
それでは、JR東日本のPERはどのように推移してきたのでしょうか。
出典:IR BANK
13~27で推移していますが、基本的には15程度の年が多く、平均的なPER水準の企業だと言えるでしょう。
やはり鉄道ということでインフラ株ですから極端に高かったり低かったりというよりは、落ち着いたPERの推移となっています。
逆に言えば、IT関連の株のように何かのきっかけで人気に火がついて高騰するというようなことは起きづらいでしょう。良くも悪くも投資家からの安定的な評価が、JR東日本の株価を上がりづらくしているもう一つの要因と言えます。
JR東日本の株はどうなる?今後の動向と見通し
これまで、JR東日本の株価が上がらない要因について見てきましたが、今後の見通しについてはどうなるでしょうか。利益とPERそれぞれの観点から見てみましょう。
利益から見る今後の株価動向
もちろん今後の利益がどうなるかは正確には分かりませんが、JR東日本は中期経営計画を出しており、それの数字をチェックしてみましょう。
出典:JR東日本
2028年の営業利益の目標は4100億円となっていますね。
2017年、2018年の営業利益が4800億円を超えていたことを考えると、2028年になってもコロナ前の水準には戻らないことが予想されます。
つまり、利益の観点からJR東日本の株価が急成長するというのは期待しづらいです。
株価指標からみる今後の見通し
続いて、PERの観点から株価動向について考えてみましょう。
JR東日本ではモビリティはもちろんですが、それ以外の事業にも力を入れており2033年には生活ソリューションの営業利益2倍を目標に掲げています。
出典:JR東日本
これが達成されると生活ソリューションの利益がコロナ前のモビリティと同程度の水準になります。
事業構成が変わるため、投資家のJR東日本に対する評価が変わる可能性もないわけではありませんが、大きな評価上昇に期待するのは難しいかなと思います。
JR東日本に投資して良い?やめた方が良い?
それでは結局JR東日本には投資した方が良いのでしょうか。やめた方が良いのでしょうか。
株価は比較的安定していて、PERも落ち着いています。
コロナといった特殊な事態で一時期業績は悪化しましたが、基本的に利益は安定して出せています。
鉄道事業だけではなく、不動産・ホテル事業などの生活ソリューションも順調で事業の多様化もできています。
さらに、配当利回りも2%程度とそこそこの配当金を受け取ることができます。
なぜなら、株価の大きな上昇に期待しづらいからです。
株式投資では10戦10勝というように全勝することはかなり難しいです。必ず負けるパターンも入ってきます。
だからこそ、6勝4敗でもトータルで大きな利益を出せるように、勝ちは大きく負けは小さく、すなわち1勝あたりのリターンが大きく見込める銘柄に投資すべきなのです。
リターンがある程度限定されてしまうような配当目的の投資はおすすめしません。
それよりもきちんとキャピタルゲインを狙っていける株式投資をおすすめします。
個人的におすすめのファンドについては下記ランキングで紹介していますので気になる方はそちらもチェックしてみて下さい。