このように考えて新興国株式への投資を検討している方もいらっしゃるでしょう。
ですが新興国インデックスETFなどの新興国株投資はおすすめできません。
本記事では新興国株式がおすすめできない理由について解説していきます。投資を検討している方はぜひご一読ください。
また、別記事でも新興国を含む投資について解説していますので、そちらもよろしければご覧下さい。
新興国株式ってなんだろう?
まずは新興国株式がどんなものなのかから確認しておきましょう。
新興国とは、日本や欧米などの先進国と異なり、現在の経済水準は高くないもののこれから成長していくことが期待されている国々です。
具体的にはBRICSなどが該当するでしょう。
もともとは今後成長が期待されるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5か国を指していたが、2024年からイラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが加わって9か国となった。
日本に住んでいるとなかなか他の国の事を考える機会も少ないですが、所得別に色分けされた世界地図を見てみましょう。
出典:アジア経済研究所
日本や米国が塗られている黄土色の地域が先進国です。
それ以外の地域が新興国となっており、世界には新興国が多いことが分かりますね。
これらの地域の成長に期待して投資していくのが新興国投資の醍醐味となってきます。
新興国株でよく言われるメリット3選
続いて、新興国株の強みについて見ていきましょう。
一般的な先進国への投資と比較してのメリットは3つです。
- 爆発的な成長が期待できる
- 先進国より株を割安で買えることがある
- 米国株との相関が小さい
メリット①爆発的な成長が期待できる
最も大きなメリットはこちらですね。
一般的に新興国の経済水準はまだ低いので伸びしろが先進国よりも多くあります。そのため、先進国では実現できないような経済成長が期待できるという訳ですね。
確認のためこれまでの経済成長率を比較しておきましょう。
出典:Goldman Sachs Economics Reserch
こちらは新興国と先進国のGDP成長率の比較で実線は5年平均、点線は年率を表しています。
グラフを見ると1990年代以降は青色の新興国が赤色の先進国を上回っていることが分かります。
このGDP成長率の高さが新興国株投資の大きなメリットの一つとなっています。
メリット②先進国より割安な場合がある
続いてのメリットは、新興国の方が先進国よりも株が安いことです。
もちろん国によるのですが、一般的には新興国株の方が先進国株よりも割安となっています。
ここで世界主要株式市場のPERをチェックしてみましょう。
(PERは数値が大きければ割高、小さければ割安を意味します。)
出典:Ginkou.info
日本やアメリカ、イギリスなどの先進国が割高水準となっていて、ドイツが標準的な水準といったところでしょうか。
中国やブラジルなどの新興国はPERが低く割安となっていることが分かります。ただし、インドのように人気がありすでに割高水準となっている新興国もありますので注意してください。
メリット③米国株との相関が小さい
最後のメリットは米国株との相関が小さいことです。
一般的に先進国の株、例えば日本株などは米国株の変動に影響されます。米国株式市場が上昇基調であれば日本株も調子が良いですし、逆に米国株が不調だと日本株も下がり気味、そんなことがよくあるのです。
一方で、米国株との相関が小さい新興国株であれば、米国株の上下動にあまり影響されません。
つまり、米国株や日本株に投資している人にとって、それらと関係ない動きをする新興国株はリスク分散になり得るのです。
新興国株単体で見るとリスクが高いとしても、ポートフォリオ全体で見ると分散投資先として一考の余地があると言えます。
新興国株式をおすすめしない理由6選
新興国株を後押しするメリットがある一方で、デメリットも数多くあります。
ここからは、新興国株がやめとけとか、おすすめしないと言われてしまう理由を見ていきます。
手数料が高くなる傾向にある
まず、新興国関連の金融商品は手数料が高いです。
なぜなら、先進国は投資環境が整っており投資する人も膨大な数いるので、どんどん商品が洗練されて手数料も引き下げられていきます。
一方で、新興国にはまだまだ投資してる人は少ないです。手数料が安くなる段階まで来ていないのです。
リスクが大きい
続いて、新興国の方がリスクが大きいと言われています。
リスクとは値動きの大きさを表し、上昇するにしろ下落するにしろ価格が大きく動きやすいということを意味しています。
ここでリスク・リターンの比較表を見てみましょう。
出典:りそなグループ
横軸がリスクで縦軸がリターンです。同種の金融商品で比較すると、債券でも株式でも先進国より新興国の方がリスクが大きくなっていますね。
ハイリターンを得やすいかもしれないけど、マイナスも大きくなりやすい、これが新興国株の大きなデメリットの一つです。
カントリーリスクがある
続いて、新興国株がおすすめされない理由の一つにカントリーリスクがあります。
カントリーリスクとは投資してる国の社会情勢や政治、経済などの状況により大きく価格変動する可能性のことを指します。
一般的に新興国では政治体制や社会情勢が不安定なことが多く、先進国では考えられないような事象が発生することがあります。
問題が発生してしまうと、基本的に投資家としてできる対策は何もないので事前の調査が非常に重要です。
必要な情報を集めにくい
また、新興国の方が投資に必要な情報を集めにくいです。
先進国であれば情報を発信する企業が数多くあり情報の発信元が充実していますが、新興国ではそうもいきません。
言語に関しても先進国では英語や場合によっては日本語でも多くの情報を集められますが、新興国では現地の言語に精通していないと十分な情報が集まらないこともあります。
先進国に比して、おおざっぱな情報で投資の意思決定をしなければならないところが新興国株投資が難しいと言われる一因です。
為替リスクがある
さらに、新興国株投資では為替リスクもつきものです。
もちろん先進国でも海外投資の場合、為替リスクはあるのですが通貨価値の動き方が先進国とは比べ物になりません。
例えばトルコリラ円のチャートを見てみましょう。
出典:SBI証券
2015年には50円を超えていたものが今やわずか4.3円です。為替で90%以上も価値が下落してしまっているのです。
新興国通貨への投資は非常に恐ろしい行為なのです。
運用実績が実は大したことない!?
さぁ、これだけのリスクがある新興国投資ですがそれに見合うリターンは得られるのでしょうか。
世界の新興国株の推移を表すMSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動運用するファンド「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」と日本・米国の代表的なインデックスを比較してみましょう。
- eMAXIS Slim新興国株式インデックス 17.85%
- S&P500 70.03%
- TOPIX 34.59%
新興国株インデックスへの投資は、日本株にも米国株にも大きく負けていることが分かります。
これまで見てきたようなハイリスクをとって、わずかこれだけのリターンではとてもではありませんがおすすめできません。
それでは新興国株には全く魅力がないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。条件が揃えば投資対象として検討してもいいと思います。
最後にその部分について解説していきます。
新興国株なら集中投資がおすすめ
これまで見てきたように、新興国株投資をしようと思って新興国ETFなどの分散投資の商品で運用するのはおすすめできません。
なぜなら、新興国株はそもそもハイリスクでありリスクを先進国レベルまで減らすの不可能です。それなのに、リスク対策として分散投資をしてしまうと上手くいったときのリターンを下げてしまい本末転倒だからです。
新興国株投資でハイリスクハイリターンを狙うなら、分散よりもむしろ集中投資をして上昇したときのリターンをできるだけ高める戦略をとるべきです。
最低でも投資対象の国は、一国に絞った方が良いでしょう。
そうなると候補の国はいくつかありますが、個人的には中国をおすすめしています。
主な理由は2つです。
- 数年後にはアメリカを抜いて世界1位の経済大国になる
- 株がまだ安い
中国は日本を抜き去り圧倒的な差をつけて世界2位の経済大国です。さらに、その成長スピードはすさまじく数年後にはアメリカをぬいて世界一になると言われています。
それでいて、PERはまだ小さく株が安く買えます。世界が中国の成長性に気付く前に投資活動を開始することで大きなリターンが期待できます。
中国株に投資するには個人でやるのもアリですが、プロに依頼するのが一番手間もかからず良いかなと思います。
中国株専門のヘッジファンドについては下記のランキング記事で解説していますので、気になる方はぜひそちらもチェックしてみて下さい。