最近の投資信託ランキングでは、インデックス関連と合わせて、イノベーション関係の投資信託が人気を集めています。
今回はその中でもグローバル・プロスペクティブ・ファンド(愛称:イノベ―ティブ・フューチャー)について解説していきます。
投資を検討している方はぜひ参考にしてみて下さい。
他の投資信託についても別記事で解説していますので、良ければ合わせてご一読ください。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの特徴
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの基本情報
まずは基本的な内容から確認していきましょう。
投資対象 | 株式 |
---|---|
投資対象地域 | グローバル(含む日本) |
決算頻度 | 年1回 |
為替ヘッジ | なし |
設定日 | 2019年6月28日 |
投資対象は株式で日本を含む全世界の株式に投資します。為替ヘッジは「なし」となっていて、設定日は2019年ですので比較的新しい投資信託ですね。
では、どのような戦略で運用していくファンドなのか見てみましょう。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの投資コンセプトとは
ファンド名から何となく察しがつきますが、グローバル・プロスペクティブ・ファンドは将来に変革をもたらすイノベーション企業に投資します。
イノベーション企業は多々ありますが、グローバル・プロスペクティブ・ファンドが注目している分野は主に5つです。
- ゲノム解析
- ロボティクス
- エネルギー貯蔵
- 人工知能
- ブロックチェーン
確かに未来がありそうな分野ばかりですよね。
ちなみにグローバル・プロスペクティブ・ファンドの委託会社(運用する会社)は日興アセットマネジメント株式会社となっていますが、実際に運用する会社は米国のアーク社です。
アーク社は2014年に米国で設立された運用会社で、「金融」と「テクノロジー」出身のアナリストチームを結成して専門的な運用を行っています。
さらに、伝統的なリサーチ手法に止まらず、外部の専門家と共同研究を行い、ネット上での批評も取り入れるなど独自のリサーチ手法を実践しています。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの評判は?
それでは、このような運用の結果、評判はどうなっているでしょうか?
グローバル・プロスペクティブ・ファンドは「モーニングスタ アワード ファンド オブ ザ イヤー 2020」において優秀ファンド賞を受賞しています。
モーニングスター(現:ウェルスアドバイザー)は投資信託の評価機関で毎年、優秀なファンドを表彰していました。
そこで、優秀ファンド賞を受賞していますので、グローバル・プロスペクティブ・ファンドの世間的な評価は高いと言えます。
ただ、あくまで2020年の運用成績が良かったという話ですので投資先として検討するにはもう少し中長期のスパンで評価する必要があると思います。
では、続いて個人投資家からの評判はどうなっているのか、掲示板を見ていきましょう。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの掲示板での評判は?
イノベーティブ・フューチャーの口コミが気になりますよね!今回はヤフー掲示板を見てみます。
掲示板では実際に投資している人の口コミを見ることができるので参考になる事が多いです。
出典:ヤフーファイナンス
悲観的な意見が多く並んでいますね。最近の成績があまり芳しくないのでホルダーもネガティブな気持ちになっているようですね。
さらに、米国の利上げも続いていますのでより下がるのではないかとの予想もあります。
出典:ヤフーファイナンス
また、グローバル・プロスペクティブ・ファンドは8月に信託期間を無期限とする変更を行いました。
それもあってか、プラスに転じるまで保有し続けるという気概の投資家の方もいらっしゃいますね。
ただ、掲示板の口コミを確認した総評としては、やはり近年の運用成績から悲観的な意見が多く厳しい評判と言えそうです。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの手数料は高い?安い?
では、ここで手数料についても確認しておきましょう。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドと同じように、全世界の株式で運用する投資信託と比較してみます。
キャピタル世界株式ファンド | インベスコ世界厳選株式オープン | グローバル・プロスペクティブ・ファンド | |
購入時手数料 | 最大3.3% | 最大3.3% | 最大3.3% |
信託報酬(実質) | 年1.701% | 年率1.727% | 年率1.658% |
解約手数料 | なし | なし | なし |
購入時手数料は最大3.3%ですべて同じ、解約に関する手数料もなしですべて同じです。
信託報酬については若干の差はありますが、ほとんど同程度ということが出来るでしょう。
つまり、グローバル・プロスペクティブ・ファンドの手数料は高くも安くもなく一般的な水準となっています。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの投資先トップ10
それでは、グローバル・プロスペクティブ・ファンドが具体的にどんな銘柄に投資しているのか見ていきましょう。
投資先の上位10銘柄は次のようになっています。
2023年7月31日時点
順位 | 銘柄 | 国 | 業種 | 比率 |
1 | ロク | 米国 | コミュニケーション・サービス | 9.8% |
2 | テスラ | 米国 | 一般消費財・サービス | 8.0% |
3 | コインベース・グローバル | 米国 | 金融 | 6.9% |
4 | ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ | 米国 | 情報技術 | 6.4% |
5 | ブロック | 米国 | 金融 | 6.3% |
6 | ドラフトキングス | 米国 | 一般消費財・サービス | 4.3% |
7 | ユニティ・ソフトウェア | 米国 | 情報技術 | 4.2% |
8 | ユーアイパス | 米国 | 情報技術 | 3.8% |
9 | トゥイリオ | 米国 | 情報技術 | 3.5% |
10 | ショッピファイ | カナダ | 情報技術 | 3.5% |
出典:マンスリーレポート
1位のRokuはメディアストリーミング端末を提供しておりアメリカでは第一位のシェアを誇っています。ケーブルテレビを解約してRokuを導入し、ネットフックスやアマプラを楽しむのが一般的です。
社名のRokuは日本語の六にちなんでおり、創業者の方が人生で六番目に作った会社だからだそうです。
2位のテスラは説明不要ですが、最先端の電気自動車を作っている会社です。日本の街中でも見かけることが増えてきましたね。
充電池の技術が優れており、1回の充電で600km以上走れると言われています。さらに自動運転などの技術も合わせて唯一無二の価値を提供しています。
3位のコインベース・グローバルは暗号資産取引所です。ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を扱っています。
これまで仮想通貨と言えば投機的な取引がメインでしたが、これからは海外送金や決済などの実用的な役割が高まると期待されています。
では、こういった資産運用の結果、運用成績はどうなっているでしょうか。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの運用成績
設定来の運用成績
まずは、設定来の運用成績を確認してみましょう。
出典:マンスリーレポート
2019年に設定された翌年、2020年にコロナショック後の上昇相場にのって大きく上昇しました。
一時は基準価格30,000円を超える伸びを見せましたがその後は急落しています。
かなり浮き沈みが激しくリスクの大きいファンドですね。これだけ見てもあまり良くはなさそうです。
ただ、念のためもう少し詳しく評価してみましょう。グローバル・プロスペクティブ・ファンドはグローバルと名がついているものの、90%以上がアメリカへの投資になっています。
そこで、米国の代表的な指数S&P500と比較してみます。
インデックスとの比較
S&P500と比較した結果はこちらです。
オレンジ色の線がS&P500で3年間で+88%です。一方でグローバル・プロスペクティブ・ファンドはピンク色の線で3年間で-33%です。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドはインデックスに負けに負けています。
これでは、高い手数料を払ってわざわざ選ぶ意味はまるでないと言えるでしょう。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの今後の見通しとは?
最後に、今後の見通しについても考察しておきましょう。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの投資先はハイテク銘柄が中心です。
そして、米国ではインフレ抑制のための利上げが続く見込みで、少なくとも金利が高止まりすることが予想されています。
金利が高い状況下では、急成長を期待して投資されるハイテク銘柄は伸び辛いです。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドにとっては今後厳しい状況が続くと言えます。
やはりこれから投資するのはおすすめできません。
他にも良い投資先はたくさんあります。個人的には安定した資産運用を中長期で実践していくのが一番成功しやすいと考えています。
安定運用が期待できるファンドについては下記ランキングにてまとめています。
投資先をお探しの方はぜひチェックしてみて下さい。