少し古い映画やドラマなんかでは、お金持ちといえば金塊を持っているイメージがありますね。
憧れを持っている人も多いと思います。
また、何かちょっと不安視されるような材料が出た時に注目されるのも金投資の特徴です。「有事の金」とも呼ばれていますね。
そんな注目されがちな金ですが、実は「金投資や純金積立はやめておけ」という声があるのも事実です。
本記事では、なぜ金投資は止めておいた方が良いのか?その理由について分析して解説していきます。
また、別記事でも資産運用について解説していますので良ければそちらも合わせてご一読ください。
金投資はなぜ人気?
古くから重宝されている金
様々な形での資産が存在していますが、金は最も古くからある資産の一つと言えるでしょう。
金は古来から人気を集めており、歴史的に見ても常に価値のある存在であり続けました。
例えば古墳時代のアクセサリーからは金箔が施されたものが見つかっていますし、平安時代の寺院なんかにも使われていました。
そして、小判・大判や金の延べ棒など形を変えながらも人々を魅了し続けています。
金は限りある資源?
さらに金は無限にあるものではなく、有限な鉱物資源です。
地球上に残っている埋蔵量は5万トンであり、今のペースでいくと約20年で掘りつくされるとも言われています。
ただ埋蔵量に関しては技術の進歩によって増えていくものなので、実際には20年でなくなることはないでしょう。
かつては日本にも金山が数多く存在しました。有名なのは佐渡金山で、こちらは江戸幕府を支える収入源となっていました。
埋蔵量には限りがあるので時代と共に多くの金山が閉山してしまいましたが、今でも現役を続けているただ一つの金山が菱刈鉱山です。
出典:住友金属鉱山株式会社
菱刈金山で採掘事業を行っているのが「住友金属鉱山株式会社」ですので、金だけでなくこちらの株式に注目してみても面白いかもしれませんね。
さぁ、長い歴史を持つ金ですが、現代における金投資とはどんなものになるのか見ていきましょう。
金投資ってどんなもの?
金投資と一言で言っても種類がいくつかあります。代表的な4つの種類について確認していきましょう。
地金(じがね)
まずは地金です。地金は高純度の金を固めたものでよく映画とかにも出てくるアレです笑
インゴットとかバーとも呼ばれています。
イメージしている金塊はまさにこれですよね。こちらは1kgですが、業者によっては5gから購入することも可能です。
金価格の目安(2022年12月1日時点)
5g | 43,430円 |
---|---|
20g | 173,720円 |
100g | 868,600円 |
300g | 2,605,800円 |
1000g | 8,686,000円 |
実は実物の金は意外と小額から買えるのが特徴です。さらに、何といっても手元に本物の金を置いておけるので、金投資の醍醐味を味わえる投資方法と言えるでしょう。
コイン
続いての投資方法はコインです。こちらも先程の地金と同じように実物への投資となります。
実際にコインを購入して手元に置いておける方法ですね。
出典:田中貴金属
例えば田中貴金属のウィーン金貨では4種類のコインが売られており、1/10オンス~1オンスとなっています。
金価格の目安(2022年12月1日時点)
1/10オンス | 27,016円 |
---|---|
1/4オンス | 67,540円 |
1/2オンス | 135,082円 |
1オンス | 270,165円 |
こちらは実物が小さいため先程の地金よりもよりお求めやすい価格になっていますね。
さらに、デザインもきれいで保管しやすいので資産運用だけでなく贈り物にも適しています。
純金積立
3つ目の方法は純金積立です。
毎月定額を積み立てて金の購入を行い、購入した金は業者に保管してもらいます。積立額は3,000円以上の所が多いです。
金価格が下がったタイミングなど追加で購入したいときはスポットで購入することも可能です。
そしてやめたいときは、「金銭」だけでなく「地金」や「コイン」などの現物で受け取ることも可能です。
金ETF
4つめの方法はETFです。
こちらはETF(上場投資信託)ですので証券会社に口座を持っていればすぐに取引を始めることができます。新しく金を販売する会社に口座を開く必要もありません。
金関連のETFだと以下のようなものがあります。
- SPDRゴールド・シェア(1326)
- NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信(1328)
- 純金上場信(現物国内保管型)(1540)
- WisdomTree 金上場投資信託(1672)
2022年12月時点で7,500円程度から購入できるものもありますので、小額から買えるのも魅力です。
もっとも簡単に金投資を始められる方法と言えるでしょう。さらに、やめる時も簡単に現金化できるのも魅力ですね。
金投資・純金積立のメリット
それでは金投資のメリットやデメリットはどこにあるのでしょうか。まずはメリットから見ていきましょう。
実物資産で無価値にならない
まず大きなメリットは実物資産であることでしょう。
金はこれまでの歴史を見ても、どの時代においても貴重で価値があるとされてきたものです。
「金=貴重で価値がある」というのは人類の共通認識なので、価格が下がることはあるにせよ0になることはないでしょう。
有事の際のリスクヘッジ
また、金はインフレに対するリスクヘッジになると言われています。
お金の価値を支えているのは信用ですので、国家に対する信頼が揺らぐと一気に紙幣が紙くずになることがあります。
過去にはハイパーインフレによってお金の価値が激減した国があります。
最近だとベネズエラでハイパーインフレが発生し、そのインフレ率は268万パーセントとも言われています。
その結果、紙幣の価値がなくなりこのような光景も見られるようになりました。
出典:Quora
紙幣の価値がなさ過ぎて服にした方がマシということですね。ハイパーインフレは極端な例ですが、お金の価値は意外と揺れ動くものなのです。
そんな状況において金という実物資産を保有していればリスクヘッジになることでしょう。
金投資・純金積立のデメリット
続いてデメリットはどうでしょうか。
手数料が高い
金投資はたくさんの手数料がかかると言われています。
業者にもよりますが、一般的には次のような手数料がかかります。
参考手数料
年会費 | 1,100円 |
---|---|
買付手数料 | 無料~16,500円 |
積立手数料 | 1.5%~2.5% |
引出手数料 | 2,200円/回 |
送付手数料 | 2,200円 |
バー指定手数料 | 無料~16,500円 |
これが一般的な株式投資であれば購入や売却にかかる手数料は数百円程度の事が多いです。
金投資に関しては、購入する金のグラム数や引き出し方によって手数料は変わるのですが、総じて高いと言えます。
金投資には価格上昇以外のリターンがない
金投資でリターンを得るには金価格が上昇するしか道がありません。
と思われるかもしれませんが他の運用方法では意外と価格上昇以外のリターンもあります。
例えば「利息」や「配当金」や「株主優待」です。
株式投資では配当狙いで投資する人もいるくらいですから、立派なリターンの源泉となっています。
しかし、金投資においては配当などのリターンは得られませんので大きなデメリットの一つと言えます。
金自身が頑張って価格を上げることは出来ない
リターンを得るためには金価格が上昇するしかない、という話をしてきましたが、金自体が頑張って価格を上昇させるわけではありません。
例えば、株式投資であれば企業が企業努力により業績を上昇させてそれに伴って株価が上昇していきますよね。
だから2倍、3倍、10倍といった価格の高騰も起こり得るのです。
しかし、金の場合はあくまで他の資産と比較して金がどれだけ人気になるかという相対的な価値しかありません。
そのため、基本的には金投資によって大きなリターンを得るのは難しいと言えます。
金投資・純金積立をおすすめできる人
それでは、金投資を有効活用できるのはどんな人でしょうか。
あてはまるのは以下のような人たちだと思います。
- 資産を1億円以上持っていてインフレリスクなどに備えたい人
- 金の保有に憧れがある人
- コインや金貨の収集が趣味の人
資産がすでに十分あって株など他の金融資産を持ちつつも一部をリスクヘッジのために金にしたい人には向いていると思います。
あとは純粋に金資産への憧れがある人ですね。
金投資によって儲けるというよりも、あくまでリスク分散のために保有するイメージが適しています。
金投資・純金積立をおすすめしない人
続いて、金投資をおすすめしない人はどんな人たちでしょうか。
- 資産運用によって大きなリターンを得たい人
- 資産運用によって安定的に資産を増やしていきたい人
- 資産が1億円に満たず資産を増やしていく段階の人
金投資は資産を増やすことには適していないので、多くの人には基本的におすすめしないです。
また、金投資はリスクが少ないと考えている人もいるかもしれませんが価格は思いのほか変動します。
出典:三菱マテリアル株式会社
為替の影響を排除して考えるため、海外価格を見てみましょう。
5年間で約1,200ドル~2,100ドルほどの間で推移していますね。一時+75%も増えたことになります。
これは増えているから良いという話ではなくて、値動きが大きいということはそれだけリスクが大きいということを意味します。
つまり、金投資はイメージよりも意外とハイリスクですし、リスクヘッジの意味合いが強いので、すでに十分な資産がある人以外にはおすすめしないです。
まとめ
最後に金投資・純金積立についてまとめておきましょう。
- 金の価値は歴史的にも世界共通
- 0になることはないと思われる
- ただ大きなリターンを狙えるものでもない
- インフレ等に対するリスクヘッジの役割
- すでに十分な資産がある人向け
- これからどんどん資産を増やしていきたい人には不向き
金投資はあくまで十分な資産がある人のリスクヘッジの手段と言えるでしょう。
これから資産を拡大していきたい人には不向きです。
これは過去のパフォーマンスを見ても明らかです。
出典:MAROTTA
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資産を増やしたいなら金投資ではなく他の運用方法がおすすめです。
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