8資産均等型バランスファンドをご存じですか?
8つの資産に均等して運用していくファンドなのですが、一部から支持を得る一方で、「8資産均等はだめ」、「8資産均等型はやめた方が良い」と酷評する意見もあります。
果たして本当に8資産均等型はだめなのでしょうか?分析して解説していきます。
また、他の種類の投信についても別記事で解説していますので良ければあわせてご一読ください。
8資産均等ってどんなファンド?
8資産均等型とは
では、さっそく見ていきましょう。8資産均等型の投信とは名前の通り、8つの資産クラスで運用していくファンドです。
出典:交付目論見書
- 国内株式
- 国内債券
- 先進国株式
- 先進国債券
- 新興国株式
- 新興国債券
- 国内リート
- 先進国リート
こちらの8種類になります。国内株式だったらTOPIXなど、これらのインデックスに投資していくのが8資産均等型ファンドの投資内容となります。
株式から債券、リートと幅広くカバーされていますね。さらに、エリアも日本だけでなく新興国、先進国と多岐にわたっています。
グローバルかつ複数の資産クラスに投資していくのが8資産均等型の特長です。
どんな投資信託がある?
それでは実際に8資産均等型の運用戦略を採用している投信にはどんなものがあるのでしょうか。
主に下記のようなファンドが販売されています。
- つみたて8資産均等バランス
- eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
- eMAXIS バランス(8資産均等型)
- たわらノーロード バランス(8資産均等型)
- ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産)
今回はその中でも代表的なeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)を取り上げて分析していきたいと思います。
それでは、まず評判がどうなっているのか見ていきましょう。
8資産均等の評判や口コミは良い?悪い?
世間からの評判とは
投資信託には優秀なファンドを表彰する様々なアワードがあります。eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はその中で「Fund of the Year2023」の第9位を記録しています。
有名投信がずらっと並ぶ中での第9位ですから素晴らしいですよね。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の世間の評判は高いと言えそうです。
それでは、掲示板での評判や口コミはどうなっているでしょうか?
掲示板での評判や口コミとは
掲示板はいくつかありますが、今回は実際に投資している人の口コミが見れるYahoo掲示板を見てみましょう。
出典:Yahooファイナンス
「8資産均等型はだめだ、頭の悪い資産配分だ!」という意見は、やはり一般論として認知されているようです。
しかしながら、この日は株が下がったけどリートで耐えたのでしょう。8資産均等をほめるコメントとなっています。
続いてのコメントはこちらです。
出典:Yahooファイナンス
8資産均等型は外貨建ての資産にも投資していますので円高懸念に触れています。
さらに、下落局面において各資産に分散していることで下落幅が抑えられるのではという期待感を持った口コミですね。
総じて掲示板での口コミ数がそこまで多かったわけではないですが、比較的ポジティブな口コミが多く見られました。
8資産均等型の掲示板での評判はまずまずだと言えます。
8資産均等型ファンドの運用成績は?
設定来の運用成績
さぁ、続いて8資産均等型ファンドの代表例、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の運用成績を見ていきましょう。
設定来の運用成績はこちらです。
出典:月次レポート
設定開始から徐々に右肩上がりで上昇し、コロナショックで落ち込んだもののその後上昇し続けています。
設定来で見ると65.5%の上昇です。年率に直すと5.7%ほどです。
これだけ見ると悪くないようにも見えますね。
もう少し詳しく見ていきましょう。
インデックスとの比較
8つのインデックスに投資しているわけですが、それぞれのインデックスの成績はどうだったのでしょうか。
インデックスごとの運用実績はこちらです。
出典:月次レポート
過去6か月の成績に注目して、投信の運用実績も含めた9本のファンドを成績順に並べると次のようになります。
新興国株式 | 14.7% |
---|---|
先進国株式 | 13.5% |
先進国リート | 12.4% |
国内株式 | 10.8% |
8資産均等型ファンド | 6.8% |
先進国債券 | 4.8% |
新興国債券 | 2.8% |
国内リート | -2.0% |
国内債券 | -2.4% |
株式のインデックスは全て8資産均等型ファンド全体の成績を上回っており、債券はすべて下回っています。
リートは上下それぞれにランクインする結果となりました。
結果を見ると、すべて株式に投資していれば約2倍の運用成績が得られていたことが分かります。
この結果を踏まえて8資産均等型のメリット・デメリットについてまとめていきましょう。
よく言われる8資産均等のメリット
資産クラスを分けた分散投資
まず一つ目のメリットは資産クラスを分けた投資ができることです。
8資産均等型のファンドを買えば、株式、債券、リートとそれぞれ異なる資産クラスに投資することができます。
異なるアセットへの分散投資を簡単に実現できる点はメリットかなと思います。
信託報酬が安い
続いて、各インデックスファンドに投資しますので手数料が安いのも魅力の一つです。
年率0.143%の信託報酬しか、かからないのでかなりお手軽に投資することができます。
インデックスファンド全般がそうですが、手数料を抑えて資産運用したい人には向いているファンドだと言えます。
自動でリバランスされる
8資産均等型ファンドでは、それぞれの資産で投資割合が決められているため自動でリバランスされます。
どれかの価格が上がって割高になれば売りますし、価格が下がって割安になれば買います。
つまり、自動で投資の大原則である「安い時に買って高い時に売る」を実践できるのはメリットの一つです。
8資産均等がダメな理由
分配比率の有用性
続いて、8資産均等型ファンドがダメだと言われる理由、デメリットについても見ていきましょう。
まずは、8資産に均等に分配するという、その均等の部分に本質的な意味がないことです。
何かの戦略に沿って投資割合を決めるのが本来の形だと思いますが、ただ意味もなく均等な割合となっています。
為替リスクもありリスクが高い
8資産均等型ファンドでは、新興国債券や新興国リートなどにも国内株式などと同様12.5%の割合で投資しています。
日本円以外に資産の60%以上投資していますので為替リスクも大きいです。
「分散投資 = リスクが低い、安全」と考えている人も多いと思いますが、実は攻めた資産にも多く投資しており、思ったよりもリスクが高い商品なのです。
異なる資産クラスに投資してるから、それだけで安全だと考えるのは誤りだと言えます。
利回りが悪い債券にも投資してる
8資産均等型ファンドでは債券にも株式と同程度投資しています。
運用成績からもわかる通り、基本的に債券の利回りは悪く本ファンドでも株式の足を引っ張る形となっていました。
個人的には債券に投資する意味はないのでは?と感じます。
株が下がった時に備えてという意見もあると思いますが、必ずしもヘッジになるわけではないですし、それで調子がいい時の株の利益の足を引っ張っていたら本末転倒だと思います。
8資産均等型ファンドについてのまとめ
最後に8資産均等型ファンドについてまとめてみます。
- インデックスファンドなので手数料は安い
- 異なる8つの資産クラスに簡単に投資できる
- ただその8つの分配比率に運用戦略を感じられない
- 新興国にも投資しており為替リスクなど実はリスクが高い
- 利回りが低い債券にも投資している
一言で言ってしまえば、8資産均等型ファンドは中途半端な商品かなと思います。
分散投資でリスクを抑えたい人向けかと思いきや、ハイリスクの新興国にも投資していますし利回りの低い債券にも投資しています。
ハッキリ言ってあまりおすすめはできません。
インデックスファンドに投資するなら国内株式や先進国株式もしくはアメリカ株などで十分ではないでしょうか。
投資を検討している方の参考になれば幸いです。下のランキングでも優良ファンドについて解説していますので、投資先をお探しの方はよければそちらもチェックしてみて下さい。