次世代通信関連世界株式戦略ファンド（愛称：THE5G）はいったいどんな投資信託なのでしょうか。
THE5Gの評判・評価や今後の見通しはどうなっていくのでしょうか。実態について研究していきます。
他の投資信託については下記で解説していますので良ければそちらもご覧ください。
THE5Gはどんなファンド？
次世代通信関連世界株式戦略ファンドとは
次世代通信関連世界株式戦略ファンド（愛称：THE5G）とはどんなファンドなのでしょうか。
まずは基本的な情報を確認しておきましょう。
| 名称 | 次世代通信関連世界株式戦略ファンド |
|---|---|
| 愛称 | THE 5G |
| 投資対象 | 株式 |
| 投資対象地域 | グローバル |
| 為替ヘッジ | なし |
次世代通信関連世界株式戦略ファンド（愛称：THE5G）は、全世界の中から名前の通り次世代の通信関連企業に投資するファンドです。
スマートフォンやデータセンターを支える半導体銘柄などが中心となっています。
これまでの運用成績とは？
それでは、次世代通信関連世界株式戦略ファンド（愛称：THE5G）のこれまでの運用成績はどうなっているのか確認してみましょう。
出典：マンスリーレポート
2017年に設定されて以来右肩上がりで成長しており、特に2020年のコロナショック以降急激に成長しています。
2021年には18,000円を超えており、4年弱で約1.8倍に伸びていることが分かります。しかしながらその後、2022年には急激に下落しており、2023年には戻しつつありますが、値動きの大きい推移となっています。
続いて、年度ごとに見てみましょう。
出典：交付目論見書
2018年まではマイナスでしたが、2018年以降は急成長しておりプラスが続いています。しかし2022年には大幅に下落する結果となりました。
運用成績だけを見れば、次世代通信関連世界株式戦略ファンド（愛称：THE5G）の内容は良い年もありますが、大きくマイナスの年もあるのでリスクの大きいファンドとなっています。
それでは、本当に投資すべき価値はあるのでしょうか。本当の所を見ていきましよう。
THE5Gの実態とは？
運用成績にだまされるな
まず、運用成績が本当に素晴らしいのか考えてみましょう。確かに設定来の成績は二ケタ成長の年も多く良いように見えます。
ですが、ここで他の指数とも比較した結果も確認しておきましょう。
こちらはTHE 5GとMSCIオールカントリー・ワールド・インデックス（配当込み、円換算ベース）との比較です。
MSCIオールカントリーインデックスは世界株式の推移を表す代表的な指標となっています。
両者の成績を見ると、世界株式が+69.66%なのに対して、THE 5Gは+22.05%と負け越しています。
つまり、THE5Gは手数料が高い代わりにインデックス以上の運用成績を目指すアクティブファンドでありながら、インデックスファンドに負け越しているのです。
成績が良い年があったのもマーケット全体が成長していたからという訳ですね。
これでは、THE5Gを選ぶ意味はないと言えます。
手数料の比較
念のため、手数料がどれくらい違うのかも確認しておきましょう。
| THE 5G | eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー） | |
| 購入時手数料 | 3.3% | なし |
| 信託報酬 | 年率1.848% | 年率0.1144% |
| 信託財産留保額 | なし | なし |
解約時の手数料（信託財産留保額）は両者かかりません。
しかし、購入時手数料はTHE 5Gが3.3%なのに対して、全世界株式はなしと、THE 5Gが3.3%も高くなっています。
さらに、信託報酬もTHE 5Gが年率1.7336%も高くなっています。
先程の運用成績をもう一度見てみましょう。
このように全世界株式に比べてTHE 5Gの方がリターンも小さく、さらに手数料も高いですのであえてTHE 5Gを選ぶ理由はないでしょう。
次世代通信関連世界株式戦略ファンドの運用戦略とは？
THE 5Gの投資地域とは？
ここまで見て来て過去実績的にはインデックスの方が優れていましたが、実績だけではなく運用の中身についても確認しておきましょう。
こちらは次世代通信関連世界株式戦略ファンドの投資先です。
出典：マンスリーレポート
58%以上を米国が占めていて2位の日本は10%ですので、圧倒的に1位の米国が占めていることが分かります。
続いて、米国のPERの推移をチェックしていきましょう。
| 2023年 | 21.3 |
|---|---|
| 2022年 | 19.7 |
| 2021年 | 35.9 |
| 2020年 | 21.3 |
| 2019年 | 20.3 |
| 2018年 | 22.4 |
| 2017年 | 22.3 |
PERとは？
株価 ÷ 一株当たり純利益
数字が大きいと割高で小さいと割安を示す。割高なタイミングで投資すると大きく下落する危険性がある。
当初、この記事を執筆したのは2021年で以下のように予想していました。
（2021年、初回記事執筆時点の予想）
2017年～2020年の米国のPERは20程度でしたが、2021年のPERは35.9と1.8倍程度になっています。
つまり、いま米国株を買うと何かのきっかけ一つで半値になってもおかしくありません。
1000万円米国株を買ったとすると、これが通常のPER水準に戻るだけで555万円になってしまうかもしれないのです。
米国はここ数年の成長がすさまじいですが、株価が上昇し過ぎていて下落の危険性も大きいです。
現在の米国株は非常に割高水準で暴落の可能性があるので危険です。
2021年時点の米国株のPERの高さから下落を危惧していました。
実際の運用成績は次のように推移しました。
2022年に大きく下落し、2023年にはやや持ち直しているという状況です。
予想通り2022年は暴落しましたね。やはりPERが高いタイミングで購入するのは危ないですね。
THE 5Gの構成銘柄とは？
念のため次世代通信関連世界株式戦略ファンドの構成銘柄も確認しておきましょう。
| 銘柄 | 国・地域 | 業種 | 比率 |
| エヌビディア | 米国 | 情報技術 | 4.50% |
| マイクロソフト | 米国 | 情報技術 | 3.50% |
| TモバイルUS | 米国 | コミュニケーション・サービス | 3.45% |
| アドバンスト・マイクロ・デバイセズ | 米国 | 情報技術 | 3.42% |
| サービスナウ | 米国 | 情報技術 | 3.41% |
| ハブスポット | 米国 | 情報技術 | 3.35% |
| パロアルト・ネットワークス | 米国 | 情報技術 | 3.29% |
| ディスコ | 日本 | 情報技術 | 3.27% |
| 台湾セミコンダクター（TSMC） | 台湾 | 情報技術 | 3.24% |
| クアンタ・コンピューター | 台湾 | 情報技術 | 3.06% |
このように上位10銘柄の内、70%は米国株となっています。
業種も情報技術に偏っています。かなり絞られた銘柄群に投資をするファンドになりますので、良い時は良いけど、悪い時は悪いというような動きになってしまいます。
値動きが大きくリスクが大きいポートフォリオだと言えるでしょう。
THE5Gの今後の価格はどうなる？見通しとは？
これまで見てきた通り、次世代通信関連世界株式戦略ファンド（愛称：THE5G）はリスクの大きいファンドとなっています。
さらに、米国のハイテク株を中心に投資をするので、金利が上がっている今の現状では成長を期待し辛いです。
なぜなら、ハイテク株のようなグロース株は、金利が上がっている状況では評価されづらいし成長し辛いからです。
米国の金利は、今後も高いままか、より上昇すると見込まれています。
THE 5Gの今後の見通しは厳しいと言えるでしょう。
まとめ
次世代通信関連世界株式戦略ファンド（愛称：THE 5G）に関してのまとめはこちらです。
- 次世代通信関連銘柄にグローバルに投資するファンド
- 2019年～2021年の運用成績は二ケタ成長
- ただし2022年には暴落しておりリスクが大きい
- 運用成績もインデックスファンドの方が優れている
- インデックスに負けるなら高い手数料を払う意味はあまりない
- 金利が高く今後の見通しも厳しい
う～ん、やはり今から投資する魅力はないというのが結論です。
他にも日本の各種ファンドを研究分析した結果、おすすめできるファンドは下記ランキングにて紹介しています。
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