これは誰もが一度は思ったことがある考えではないでしょうか。
資産運用による不労所得で生活していくことは決して不可能ではありません。
ただし「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)」で実現しようと思っている方は注意してください。高配当に騙されてはいけません。
本記事では、SPYDの特徴やおすすめしない理由について解説していきます。
また、別記事でも高配当ETFについて解説していますので気になる方はそちらもご一読ください。
【SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF】SPYDの特徴とは
SPYDってどんなETF?
アルファベットが並んでいて、パッと見分かりづらいですがSPYDってどんな金融商品なのでしょうか。
正式名称は「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」です。
名前の通り、S&P500の中でも特に高配当銘柄に投資するETFとなっています。ベンチマークは「S&P500高配当指数」で、これに連動するような運用成績を目指します。
「S&P500項高配当指数」は、S&P500のうち配当利回りが高い上位80銘柄のパフォーマンスを計測する指数です。80銘柄という数は、多すぎず少なすぎずでちょうどいいボリュームと言えるでしょう。
運用しているのはどこの会社?
SPYDを資産運用しているのは米国のState Street社です。バンガードやブラックロックと並んで世界最大級の金融機関となっています。
そのため、SPYDの純資産総額も68億ドルと非常に大きな金額となっています。
超大手企業の運営する高配当ETFと聞くと何だか安心感がありますね。購入を検討する人が多いのも納得です。
高配当に騙されるな!
SPYDを検討している人は大体このような理由で選ばれているのではないでしょうか。
ですが、「高配当利回り銘柄 = 安定運用」は正しいとは言えません。高配当の罠に引っかからないように注意が必要です。
それでは、詳しく見ていきましょう。
SPYDの掲示板での評判とは
まずは、SPYDの掲示板での評判からチェックしていきましょう。全体的にはインデックスETFということもあってコメントはそこまで多くありませんでした。
出典:Yahooファイナンス
ずいぶんとシンプルなコメントですね笑
運用成績が良かったのでしょう。利益が出ているというコメントはこれ以外にも見られました。
出典:Yahooファイナンス
また、為替リスクについての言及もありました。実際の損益は、構成銘柄の株価の上下だけではなくドル円の動きにも影響を受けます。
仮に株価が上がったとしても、円高に進めば利益は得られないわけですね。米国株に投資する際の要注意点です。
口コミとしては好意的なものが多く見られ、SPYDの掲示板での評判は悪くないと言えるでしょう。
SPYDの手数料は高いのか安いのか?
続いて、手数料もチェックしておきましょう。
似たような高配当ETFと経費率を比較してみます。
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF) | 0.06% |
---|---|
HDV(iシェアーズ・コア米国高配当株ETF) | 0.08% |
SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF) | 0.07% |
一番安いのはバンガード社の提供するVYMですね。それに比べると高くはなっていますが、その差は0.01%です。
逆にHDVよりは0.01%安くなっています。
いずれにせよSPYDの経費率はわずか0.07%ですので、手数料は安いと言えます。
SPYDの投資先はこんな会社
投資先トップ10
それでは、SPYDは具体的にどんな会社に投資しているのでしょうか。上位10銘柄を見てみましょう。
2023年12月29日時点
No. | 銘柄名 | 比率 |
1 | Seagate Technology Holdings PLC | 1.83% |
2 | NRG Energy Inc. | 1.73% |
3 | Phillips 66 | 1.58% |
4 | Amgen Inc. | 1.55% |
5 | KeyCorp | 1.54% |
6 | Fifth Third Bancorp | 1.53% |
7 | Zions Bancorporation N.A. | 1.50% |
8 | Packaging Corporation of America | 1.49% |
9 | International Business Machines Corporation | 1.49% |
10 | Simon Property Group Inc. | 1.46% |
SPYDでは配当利回りが高い銘柄にほぼ同程度の割合で投資していきます。
具体的な銘柄を見ていくと、1位のSeagate Technology Holdings PLCは1979年に設立されたデータストレージソリューションプロバイダーです。主にハードディスク関連の製品を製造しています。
NRG Energy Inc.は米国に本社を置く大手のエネルギー会社であり、電力および関連サービスを提供しています。
Phillips66は大手の総合エネルギー企業であり、石油およびガスの探査、生産、精製、流通など、エネルギー関連の様々な分野で事業を展開しています。
投資セクター比率
このような企業に投資した結果、業種別の構成比率は以下のようになっています。
2023年12月29日時点
金融が24%と一番大きく、次いで不動産の21%となっています。
同じState Street社が提供するETFにS&P500と連動するSPYがありますが、SPYとは構成が大きく異なっているのが特徴です。(SPYでは情報技術が28%と圧倒的1位で次いで金融が12%となっています。)
SPYDの運用成績とは
設定来の運用成績
ではこのような資産運用の結果、運用成績はどうなっているのでしょうか。
基準日2023年12月29日
ファンドの配当利回り 1.40%
まず配当利回りはたった1.40%です。日本株の配当利回りが2%程度ですからそれと比較しても低くなっていますね。
実はSPYDの配当利回りはそこまで大きくないのです。
続いてリターンはどうでしょうか。
基準日2023年11月30日
1か月 | +9.30% |
---|---|
1年 | -7.68% |
3年 | +9.60% |
5年 | +4.37% |
設定来 | +7.38% |
1年間で見るとマイナスですが、それ以外はプラスになっていることがわかります。
これだけ見ると悪くないように見えますね。ですが、マーケット全体が良かったのかSPYDが良かったのかはよく分かりません。
そこで、S&P500と連動する運用を目指すSPYと比較してみましょう。
高配当に意味はある?SPYとの比較
同じState Street社が提供するS&P500と連動するSPYと運用成績を比べてみます。
SPYDではS&P500の中でもわざわざ配当利回りが良い銘柄を抜き出したわけですが、一体その成果はどうだったのでしょうか。
基準日2023年11月30日
SPYD | SPY | |
1か月 | +9.30% | +9.11% |
1年 | -7.68% | +13.72% |
3年 | +9.60% | +9.63% |
5年 | +4.37% | +12.36% |
設定来 | +7.38% | +9.90% |
ここ1か月はかろうじて勝ち越していますが、それ以外はすべて負けています。
並べてみると、SPYDの運用成績はS&P500に大きく負けている結果となりました。
SPYDをおすすめしない理由とは
運用成果から見ても結論は出ているのですが、最後にSPYDをおすすめしない理由を述べておきます。
配当狙いに意味がない
まず、そもそもですが株式投資において高配当を狙う意味があまりありません。
利益が出るかどうかは株価の上下と配当金を合わせたもので判断しなければならないからです。配当金だけに注目する意味がありません。そして、基本的には配当金が出ればその分株価は下がります。
だから仮に高い配当が出たとしても、その分株価は下がるはずなので意味がないのです。
為替リスクが大きい
また、SPYDに関しては米国株となるため為替リスクがあります。
最近の為替レートの動きを見てもらえばわかりますが、配当利回りよりも全然大きく動いています。
為替レートは誰にも予想できませんのでギャンブルをしているのと一緒です。とてもではないですが、おすすめできません。
「高配当=安定運用」は嘘
一般的には金融機関から「高配当狙いは安定運用」と案内されることも多いと思います。ですが、これは残念ながら嘘です。
配当が多くても結局株価は動きますし、株価が下がったら簡単に損失が発生しますので「高配当=安定運用」とはなりません。
なんとなくの一般的な傾向だけで投資しないようにしましょう。
いいえ。そういう訳ではないので安心してください。
配当だけではなく、株価の動きも考慮して安定的な資産運用ができるファンドに投資すればいいのです。
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これだけの利回りが出ればグッと配当生活の夢が近づくのではないでしょうか。
具体的なヘッジファンドについては下のランキングで紹介していますので、投資先をお探しの方はぜひそちらもチェックしてみて下さい。