のむラップ・ファンドは良いファンドなのか悪いファンドなのか気になりますよね?
「証券会社の営業マンにおすすめされたものの、なかなか買う決心ができない。」
「すでに購入してしまっているけど売却を迷っている。」
のむラップ・ファンドの購入を検討している方や手放すかどうか迷っている方のために「のむラップ・ファンド」の特徴や今後の見通しについて解説していきます。
また、個別の投資信託については別記事でも解説していますので良ければ参考にしてみて下さい。
「のむラップ・ファンド」はどんなファンド?
のむラップ・ファンドの基本情報
まずは、のむラップ・ファンドの基本的な情報から確認しておきましょう。
投資対象地域 | グローバル(日本を含む) |
---|---|
投資対象資産 | 資産複合(株式、債券、不動産投信) |
決算頻度 | 年1回 |
投資形態 | ファミリーファンド |
為替ヘッジ | なし |
委託会社(運用会社) | 野村アセットマネジメント |
受託会社 | 野村信託銀行株式会社 |
設定日 | 2010年3月15日(一部2016年11月11日) |
のむラップ・ファンドは野村アセットマネジメントが運用する野村グループの商品です。
投資対象は株式や債券、不動産投信など多岐にわたっており、日本も含む世界中に分散投資を行っています。
為替ヘッジはありません。
のむラップ・ファンドはファンドラップ?投資信託?
少し気になるのが「のむラップ・ファンド」はファンドラップなのかどうかです。名前だけ聞くと迷ってしまいますよね?
野村のファンドラップは「野村ファンドラップ」という名前になっています。
- 「野村ファンドラップ」・・・ファンドラップ
- 「のむラップ・ファンド」・・・投資信託
ですので、「のむラップ・ファンド」はあくまで野村グループの投資信託です。
ファンドラップについての解説は別記事にて、してますのでそちらを参考にしてみて下さい。
のむラップ・ファンドの特徴とは?
選べる5タイプ(保守型・やや保守型・普通型・やや積極型・積極型)
それでは、のむラップ・ファンドの特徴を見ていきましょう。
のむラップ・ファンドの投資先は5種類です。
「国内株式」
「外国株式」
「世界REIT」
「国内債券」
「外国債券」
そして、これらへの資産配分比率の違いで、のむラップ・ファンドは5つのタイプに分かれています。
出典:野村證券
例えば、一番安定性を重視している保守型では、「国内株式」、「外国株式」、「世界REIT」への投資比率の合計は、原則50%以内となっています。
- 保守型・・・・原則50%以内
- やや保守型・・原則60%以内
- 普通型・・・・原則75%以内
- やや積極型・・原則85%以内
- 積極型・・・・制限なし
これらは投資目的や投資スタイルに合わせて投資家が選ぶことができます。
資産配分は選ぶタイプによって変わってきますが、基本的には広く分散投資する投資信託となっています。
のむラップ・ファンドの手数料とは
続いて、のむラップ・ファンドの手数料についても確認しておきましょう。
のむラップ・ファンドでは5つの中からどのタイプを選ぶかによって手数料は変わってきます。
購入時手数料 | 信託報酬 | 信託財産留保額 | |
保守型 | 1.1% | 年1.188% | 0.3% |
やや保守型 | 年1.2705% | ||
普通型 | 年1.353% | ||
やや積極型 | 年1.4355% | ||
積極型 | 年1.518% |
購入時手数料と信託財産留保額(解約する時の手数料は)はどのタイプでも同じですね。
信託報酬に関しては、リスクタイプが積極的になるほど高い設定となっています。
のむラップ・ファンドはマーケットよりも高いリターンを目指すアクティブ投信です。
他のアクティブ投信とも手数料を比較してきましょう。
のむラップ・ファンド | ひふみ投信 | さわかみファンド | |
購入時手数料 | 1.1% | なし | なし |
信託報酬 | 年1.188%~年1.518% | 年1.078% | 年1.1% |
信託財産留保額 | 0.3% | なし | なし |
ひふみ投信やさわかみファンドは独立系の投資信託として有名な投資信託です。購入時手数料と信託財産留保額はともになしとなっており信託報酬も年1.1%となっています。
比較すると、のむラップ・ファンドの手数料はやや高い水準となっています。
のむラップ・ファンドの評判は良い?悪い?
続いて、のむラップ・ファンドの評判はどうでしょうか。
のむラップ・ファンドは、モーニングスター社の主催する「FUND OF THE YEAR2021」のバランス型部門において最優秀ファンド賞を受賞しています。
出典:MORNING STAR
バランス型部門の対象ファンドは全部で1017本です。その中で最優秀ファンド賞を受賞していますから評判は上々です。
では、実際の所どうなのか見ていきましょう。
のむラップ・ファンドの投資先
のむラップ・ファンドは具体的にどんな投資を行っているのでしょうか。
基本的には、のむラップ・ファンドは各マザーファンドへ投資する形で資産運用を行っています。
- 国内株式 → 国内株式マザーファンド
- 国内債券 → 国内債券NOMURA-BPI総合マザーファンド
- 外国株式 → 外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド
- 外国債券 → 外国債券マザーファンド
- 世界REIT → 世界REITインデックスマザーファンド
それらの投資比率を5つのタイプごとに変えることでリスクに応じた資産運用を行います。
出典:交付目論見書
保守型は国内債券比率が最も高く外国株式が最も少なくなっています。
逆に積極型になっていくと、国内債券の割合が減り、外国株式の割合が大きくなっていきます。
外国株式での運用は、MSCI-KOKUSAIでの運用となっています。MSCI-KOKUSAI指数は日本を除く先進国の主要銘柄を対象とした株価指数です。
出典:交付目論見書
具体的な銘柄を見ると、アップル、マイクロソフト、アマゾン、テスラ、アルファベットといったアメリカの超巨大企業が中心となっています。
のむラップ・ファンドの運用成績
これまでの運用成績
のむラップ・ファンドでは、何か特別な運用戦略を用いて資産運用してくれる訳ではなく、あくまで資産配分を決定してくれる役割となっています。
では、その結果これまでの運用成績はどうなっているか見てみましょう。
(2024年1月31日基準)
出典:月次レポート
平均年率リターンを見てみると、一番悪い保守型で3.7%、一番良い積極型で9.3%です。これだけ見てみると悪くない運用成績にも見えますね。
ただ本当にこの運用成績が良いのか?インデックスとも比較してみましょう。
のむラップ・ファンドとインデックスの比較
一般的にインデックスファンドは、目標としたインデックスに連動するように運用されます。そんなに手間がかかっていないので手数料も安いです。
一方でアクティブ投信は、インデックスよりも良い運用成績を目指すために手数料も高いです。
のむラップ・ファンドはアクティブ投信で高い手数料を払っていますから、インデックスを上回る成績が期待できなければいけません。
それでは、のむラップ・ファンドの中で一番成績が良かった積極型と、そのファンドでメインに投資されているインデックス「MSCI-KOKUSAI指数」を比較してみましょう。
年率リターンの比較
リターン1年 | リターン3年 | リターン5年 | リターン10年 | |
のむラップ・ファンド(積極型) | 24.37% | 14.18% | 12.25% | 8.85% |
MSCIコクサイ(配当込、円) | 35.82% | 22.06% | 19.86% | 14.12% |
直近3年リターンの比較
年率リターンを見ると、1年~10年どの期間においても「のむラップ・ファンド」が「MSCIコクサイ」を下回っています。
直近3年のグラフの推移を見ても「のむラップ・ファンド」は「MSCIコクサイ」の成績を大きく下回っています。
のむラップ・ファンドを通すのではなく、自分で直接、MSCIコクサイインデックスファンドを購入した方が良かったことになります。
これでは、のむラップ・ファンドを選ぶ意味がありません。高い手数料を支払ってわざわざ運用成績を下げているようなものです。
のむラップ・ファンドの今後の見通しとは
ここまで見てきた通り、のむラップ・ファンドは主要なインデックスへの投資がメインであり、何か特別なリスクヘッジをしている訳ではありません。
マーケットが上がれば上がりますが、マーケットが下がれば普通に下がります。
これでは運任せと一緒ですし、わざわざ高い手数料払って「のむラップ・ファンド」を選ぶ意味がないですよね。
きちんと手数料を払うのであれば特別なリスクヘッジ戦略をしてくれるヘッジファンドの方がおすすめです。
個人では対応できない何かがあった時にプロならではの戦略で対応してくれる、それを実現するのがヘッジファンドです。
ヘッジファンドの良さについては別記事でも解説していますのでそちらも良ければご一読ください。
まとめ
最後に「のむラップ・ファンド」についてまとめます。
- 「のむラップ・ファンド」は投資信託
- 投資先は「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」「世界REIT」
- 好みに応じてタイプを選べる(保守型~普通型~積極型)
- タイプによって投資先資産の配分比率が変わる
- 保守型だと国内債券の比率が大きく積極型は外国株式の割合が大きい
- 外国株式は「MSCI-KOKUSAI指数」に連動する運用
- 「MSCI-KOKUSAI指数」の方が過去の運用成績が良い
- 高い手数料払って運用成績を下げているようなもの
- 何かあった時のための特別なリスクヘッジ戦略もない
- 「のむラップ・ファンド」を選ぶ意味はない
厳しい結論になってしまいましたが、やはり「のむラップ・ファンド」を選ぶ意味はないと思います。
何かあった時にきちんとリスクをヘッジしてくれるプロの運用がしたいならヘッジファンドがおすすめです。
ヘッジファンドについては下記ランキング記事で解説していますので、投資先をお探しの方はそちらも参考にしてみて下さい。