ありがとう投信の運用する「ありがとうファンド」。名前は憶えやすいですが、運用先としての実力はどうなっているでしょうか?
ありがとうファンドに投資するのは危ないのか?安心できるのか?今後の見通しも含めて解説していきます。
ありがとう投信の利用を検討している方はぜひ参考にしてみて下さい。また、他の投資信託についても別記事にて解説していますよね良ければ合わせてご覧ください。
ありがとう投信が運用する『ありがとうファンド』
運用会社のありがとう投信とは
ありがとうファンドは、有名なひふみ投信やさわかみファンドのように独立系の運用会社です。ありがとう投信という会社が運用するファンドとなっています。
運用会社のありがとう投信は、2004年3月9日に設立されました。
出典:ありがとう投信HP
こちらがありがとう投信を立ち上げたメンバーですが、みなさん税理士や公認会計士をされているのが特徴です。
この強みを生かして、ありがとう投信の講座持っている人限定での「コンシェルジュサービス」や「FPサービス」も提供しています。
出典:ありがとう投信HP
運用だけでなく相続や税金など各タイミングで相談できるのも一つの強みです。
ありがとうファンドの基本情報
ですが、投資先として考えた時に、運用商品としてのクオリティが重要です。続いて、ありがとうファンドそのものの基本情報を確認しておきましょう。
投資対象地域 | グローバル(日本を含む) |
---|---|
投資対象資産 | その他資産 |
決算頻度 | 年1回 |
投資形態 | ファンド・オブ・ファンズ |
為替ヘッジ | なし |
委託会社(運用会社) | ありがとう投信 |
受託会社 | 野村信託銀行株式会社 |
ここまでの一般的な基本情報では、まだよく分かりませんね。グローバルに投資するファンドだということくらいです。
いよいよ、ありがとうファンドの詳細について見ていきましょう。
ありがとうファンドの特徴とは
ありがとうファンドの仕組み
まずは、核となるコンセプトから見てみましょう。ありがとうファンドのコンセプトは非常にシンプルです。
- 長期投資
- 国際分散投資
- 厳選投資
このコンセプトから予想されるのはハイリスクハイリターンというよりは、ローリスクローリターンの運用戦略だということです。
そして、これを実現するための運用の仕組みはこちらです。
出典:交付目論見書
特徴的なのは、ありがとうファンドから世界各国のファンドに投資されていることです。そう、ありがとうファンドでは、ありがとう投信が直接運用するのではなく、実質的な運用は世界各国のファンドが行うのです。
実質的に運用する投資先パートナー
それでは、この実質的に運用するパートナーはどのようなファンドが務めているのでしょうか?
『アライアンス・バーンスタイン』 ニューヨークに本社を置く世界有数の資産運用会社。40年以上の運用歴を誇り、世界21か国47都市にグローバルに展開する。 |
|
『アリアンツ・グローバル・インベスターズ』 59兆円以上の資産を運用しアクティブ運用を提供する。世界18カ国で事業展開、600名以上の運用プロフェッショナルが在籍。 |
|
『アバディーン』 綿密な企業調査とグローバルに展開する幅広い調査網を礎とする運用会社。顧客のニーズに沿った最先端の運用ソリューションを提供する。 |
|
『コムジェスト』 1985年にフランス・パリに設立された独立系の運用会社。クオリティ・グロース企業(質の高い成長企業)に集中投資する運用戦略。 |
|
『ブラックロック』 運用資産残高は1,153兆円を超える世界有数の運用会社。アクティブ、エンハンスト、インデックスなど様々な運用戦略を駆使する。 |
|
『ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ』 過去40年にわたり、各国政府や機関投資家、金融プロフェッショナル相手に資産運用サービスを提供。 |
|
『バンガード』 初めて個人投資家向けにインデックスファンドを提供した運用会社。低コストのインデックス運用における第一人者。 |
これらは世界各国で活躍する大手運用会社です。彼らが運用するファンドに投資しますので、世界各国の大手ファンドに投資すると思ってもらえればと思います。
具体的にはどんな会社に投資しているのか
具体的にはどんな会社に投資しているのでしょうか?
代表的な投資先はこちらです。
- アルファベット(アメリカ)
- マイクロソフト(アメリカ)
- アマゾン(アメリカ)
- メタ・プラットフォームズ(アメリカ)
- VISA(アメリカ)
- サムスン(韓国)
- TSMC(台湾)
- 中国石油天然気(中国)
- 中国農業銀行(中国)
- シスメックス(日本)
- 村田製作所(日本)
- ダイキン工業(日本)
- ダイフク(日本)
- ASML HOLDING NV(オランダ)
- LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUI(フランス)
- KINGSPAN GROUP PLC(アイルランド)
- ADIDAS AG(ドイツ)
- DSV PANALPINA A/S(デンマーク)
- CYBERARK SOFTWARE LTD(イスラエル)
- FIRST INTERSTATE BANCSYSTEM INC(アメリカ)
- BELLUGA GROUP PJSC(ロシア)
- MPHASIS LTD(インド)
- PACIFIC BASIN SHIPPING LTD(香港)
これらはあくまで一例です。世界各国の巨大企業、成長企業が並んでいます。
一つのファンドに投資するだけでも分散投資ができますが、複数のファンドを組み合わせて運用を行っていますので、本当に超分散投資を行っていることになります。
世界各国の数え切れないくらいの株や資産に分散投資するのが、ありがとうファンドの特徴だと言えます。
ありがとうファンドの評価や評判とは?
ありがとうファンドの運内容については概ね分かりました。それでは、ありがとうファンドに対する評価や評判はどうなっているでしょうか。
ありがとうファンドは、各種アワードにおいて受賞歴があります。
出典:ありがとう投信HP
2021年には「R&Iファンド大賞 2021投資信託10年部門優秀ファンド賞」
2022年には「リッパーファンドアワード2022最優秀賞」
を受賞しており評判は良いと言えます。
ありがとう投信を利用すれば誰でも簡単に世界中に国際分散投資をできますし、ただインデックスに投資するのではなく世界の成長株に投資できるのが大きな魅力となっています。
ありがとうファンドの手数料とは
評価が高いありがとうファンドですが手数料はどうなっているでしょうか。
ありがとう投信と同じく独立系の投資信託であるひふみ投信やさわかみファンドと比較してみましょう。
ひふみ投信 | さわかみファンド | ありがとうファンド | |
購入時手数料 | なし | なし | なし |
信託報酬(実質) | 年率1.0780% | 年率1.10% | 年率1.55%±0.2% |
解約手数料 | なし | なし | なし |
全てのファンドにおいて購入時手数料や解約手数料はありません。信託報酬はありがとうファンドがやや高めとなっています。
ありがとうファンドの手数料はめちゃくちゃ高い訳ではないですが、他の独立系投信と比較するとやや高い水準となっています。
ありがとうファンドの運用成績は良い?悪い?
ありがとうファンドの運用成績
気になる運用成績についても確認しておきましょう。ありがとうファンドの設定来の推移はこちらです。
出典:ありがとう投信HP
赤い線が基準価格ですが、設定以降2008年にリーマンショックで一時期落ち込みますが、それ以降は順調に回復し成長を続けていることが分かります。
グラフを見る限りでは良さそうな運用成績ですね。
ひふみ投信/さわかみファンドとの比較
もう少しく詳しく数字でも見ていきましょう。
せっかくなので同じ独立系投信のひふみ投信/さわかみファンドと比較してみます。
年率 | 3年 | 5年 | 10年 | |
ひふみ投信 | リターン | 7.51% | 7.66% | 15.38% |
シャープレシオ | 0.47 | 0.48 | 0.97 | |
さわかみファンド | リターン | 8.07% | 6.28% | 9.69% |
シャープレシオ | 0.48 | 0.40 | 0.59 | |
ありがとうファンド | リターン | 14.88% | 10.36% | 11.74% |
シャープレシオ | 0.79 | 0.62 | 0.75 |
これらは全て長期で運用するファンドですので一番右の列の10年について見てみましょう。
いちばん良い成績を残しているのはひふみ投信で、10年間の平均年率トータルリターンは15.38%、シャープレシオは0.97となっています。
ありがとうファンドは、さわかみファンドよりは好成績ですが、ひふみ投資には及ばないまずまずの運用成績と言えるでしょう。
ありがとうファンドの今後の見通しは?
ありがとうファンドは、簡単に世界に広く分散投資できるファンドです。リスクは抑えられますが逆に言えばリターンも限られます。
また、こういった広く分散投資するような運用では、一度にドカンと資金を入れるよりもドル・コスト平均法のように少しずつ投資していく方法が適しています。
これらの方法は、これまでの歴史と同様、世界経済が右肩上がりで成長していくことが成り立てば効果的な運用戦略だと言えます。
ただし、為替リスクには要注意です。
「為替の変動で株式投資の利益がなくなってしまう」
「株はプラスだったのに為替でそれを上回る損失が発生した」
こういったことはよくありますし、防ぐ手立てがありません。為替リスクは受け入れるという覚悟を持ったうえで運用を検討して下さい。
一方で、もう少しリターンを大きく狙いたい人や手元にまとまった資金がありそれを運用したい人には不向きな運用となっています。
まとめ
ありがとうファンドについてのまとめはこちらです。
- 世界各国のファンドに投資を行う
- 世界の著名運用会社が実質的な運用を行う
- インデックス投資とは異なり世界の成長企業にも投資する
- 非常に多くの銘柄に投資する分散投資
- ローリスクローリターンでの運用が期待できる
- ファンド賞の受賞歴もある
- ただし為替リスクには要注意
- 手数料はやや高い
ありがとうファンドは「為替リスクを受け入れられて、リターンはそこまで大きくなくてもいいから小額をコツコツと積み立てて長期で資産運用していきたい人」におすすめです。
逆に次のような人達には不向きかなと思います。
こういった方々には別の運用方法がおすすめです。私が個人的に研究・分析したおすすめの運用先は下記の「ヘッジファンドランキング」にてご紹介していますので良ければそちらから投資先を探してみて下さい。