ブロックチェーン関連の投資信託でおすすめされているのが「インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンド【愛称:世カエル】」です。
こちらの投資信託は2024年2月の月次リターンランキングではなんと株式投信の中で1位の成績をたたき出しました。
出典:日本経済新聞
このように注目を集めているインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドですが、本当に選ぶべき投資信託なのでしょうか?
本記事では、インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの評判を確認するとともに運用内容を分析し、投資の是非について解説していきます。
また、別記事でも投資信託について分析していますので良ければそちらもお読み下さい。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドはどんな投資信託?
どんな運用戦略で投資するのか分析!
まずは、投資信託の運用コンセプトから確認していきましょう。
こちらの投資信託ではブロックチェーン技術に注目してブロックチェーン・ビジネス関連企業に投資します。
いわゆるテーマ型の投資信託ですね。
ブロックチェーンと言えば仮想通貨のようなイメージがありますが、そこにとどまらず様々な役割が期待されています。
出典:Invesco
ブロックチェーン技術の市場希望は2030年には140兆円を超えると予想されており、急激な成長が大いに期待される産業となっています。
このような急成長する企業群に上手く投資していこう!というのがインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの基本コンセプトです。
2種類の投資信託
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドには2種類のファンドがあります。
- インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンド
- インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンド 予想分配金提示型
二つ目のタイトルには予想分配金提示型とあるように、こちらは分配金を出す投資信託となっています。
繰り返し述べてきたことになりますが、配当金を出す投資信託は運用効率の著しい悪化を招くので選んではいけません。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドは新NISA運用できる?
ここでインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドが新NISAに対応しているのかも確認しておきましょう。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドは成長投資枠の対象です。
予想分配金提示型は新NISAに対応していませんのでそこはご注意ください。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの掲示板での口コミや評判はどう?
続いてインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンド【愛称:世カエル】の評判はどうなのでしょうか。
多くの口コミが見られるYahoo掲示板をのぞいてみましょう。
出典:Yahooファイナンス
最近の運用成績が悪いのでしょうか。ただ、すぐに売ってしまうのではなくブロックチェーンの可能性を信じ保有し続けるというコメントですね。
ブロックチェーンに期待感をもって投資していることが読み取れます。
続いての口コミはこちらです。
出典:Yahooファイナンス
ずっとマイナスが続いているが、3倍に増えるまでは保有し続けるぞ!という口コミですね。
高い手数料を払ってでも何年も長期で保有し続けるのはなかなか出来ることではありませんね。
運用としては上手くいっていない部分もあるようですが、投資している人自体はブロックチェーンに高い期待感をもっていることが読み取れる掲示板の内容でした。
評判としてはまずまずと言えるでしょう。
続いて、口コミにもありましたが本当に手数料が高いのか確認していきましょう。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの手数料はそんなに高い?
投資信託では主に①購入時②運用中③解約時の3つのタイミングで手数料がかかります。
それぞれがいくらかかるのか、インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドと同種のカテゴリーの投資信託と比較してみましょう。
デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド | 次世代通信関連世界株式戦略ファンド | インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンド | |
購入時手数料 | 最大3.3% | 最大3.3% | 最大3.3% |
信託報酬(実質) | 年率1.7985% | 年率1.848% | 年率1.63% |
解約手数料 | なし | なし | なし |
購入時手数料最大3.3%、解約手数料なしはすべて同様ですね。
信託報酬はほとんど同じですが、若干インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドが安くなっています。
とはいえ、信託報酬でこの水準は投資信託の中でかなり高い部類であることは間違いありません。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの手数料は同種のカテゴリの中では若干安いが、投資信託の中ではかなり高い部類となっています。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの投資先はどこ!?
組入れトップ10銘柄
さぁそれではインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドが具体的にどんな銘柄に投資しているのか見ていきましょう。
組入れの上位10銘柄はこちらです。
2024年8月30日時点
銘柄 | 国 | 業種 | 比率 |
マネックスグループ | 日本 | 金融サービス | 5.3% |
台湾積体電路製造 | 台湾 | 半導体・半導体製造装置 | 5.3% |
SBIホールディングス | 日本 | 金融サービス | 5.0% |
ビットファームズ | カナダ | ソフトウェアサービス | 3.9% |
サムスン電子 | 韓国 | テクノロジー | 3.8% |
マイクロストラテジー | アメリカ | ソフトウェアサービス | 3.8% |
ペイパルホールディングス | アメリカ | 金融サービス | 3.7% |
メルカドリブレ | アメリカ | 一般消費財 | 3.7% |
コインベースグローバル | アメリカ | 金融サービス | 3.7% |
ビットデジタル | 中国 | ソフトウェアサービス | 3.4% |
業種はもちろんブロックチェーン技術関連に絞られていますが、国は日本、台湾、カナダ、韓国、アメリカ、中国と幅広く投資されていることが分かりますね。
エリアごとの投資比率も確認しておきましょう。
出典:月次レポート
約半分がアメリカ、次いで日本、大きくあいて台湾、韓国、カナダとなっていますね。
アメリカを中心として日本、台湾、韓国といったアジアに投資する構成となっています。
一般的なインデックス投資ではこういった投資はできないので、オリジナルなポートフォリオを築いてることが分かりますね。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの運用成績はどう?
これまでの運用実績とは
では、このような運用をしてきた結果、運用実績はどうなっているのでしょうか。
設定来の運用成績から見てみましょう。
出典:月次レポート
設定してから割とすぐにコロナショックが来ていますがその後順調に成長し、一度下落していますがまた回復しています。
設定来で見れば大きく増えており悪くないように見えますね。ですが、これだけでは何とも言えないのでインデックスとも比較してみましょう。
各種インデックスと比較すると?
アメリカを中心に他の国々に投資する投資信託ですので、全世界株式、米国株、日本株のインデックスと比較してみます。
ここ3年の結果はこちらです。
ピンク色の線がインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドですので、全てのインデックスに大幅に負けていることが分かりますね。
また、3つのインデックスはそれぞれ連動性のある動きをしていますが、インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドは割と関係のない動きをしているのも特徴的ですね。
この点を詳細に見るために設定来の世界株式インデックスとの比較を見てみましょう。
出典:Invesco
設定来で見れば世界株式インデックスに勝ち越していますが、やはり特徴的なのは指数から大きくかけ離れた動きをしていることですね。
これこそがオリジナルなポートフォリオを構成しているが故の特長だと言えるでしょう。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドは今後どうなる?おすすめしない?
結局どんな商品特性を持っているのか
オリジナルな投信であることは分かりましたが、結局投資すべき投資信託なのでしょうか。それとも、やめた方が良いのでしょうか。
こちらの投信の年ごとのリターンを見ると次のようになります。
出典:交付目論見書
利益が出ている年は大きく出ていますが、マイナスの年の損失も大きいです。
リスクと運用効率を知るために標準偏差とシャープレシオを見てみましょう。
標準偏差はリスクを表し数字が大きければ大きいほど値動きが激しいことを表します。シャープレシオは運用効率(リスクに対するリターン)を表し1を超えると非常に運用効率がいいといえます。
期間 | 標準偏差 | シャープレシオ |
1年 | 41.66 | 1.18 |
3年 | 35.79 | 0.07 |
5年 | 36.81 | 0.62 |
標準偏差は35.79~41.66とハッキリ言って他の投資信託では見たことないくらい大きいです。つまり、投資信託の中でもトップクラスの値動きの大きさだと言えます。
続いてシャープレシオです。ここ1年は1.18と素晴らしいですが、3年で見ると0.07と全くリスクに見合ったリターンが取れていません。5年で見れば0.62ですが、それでも十分とは言い難いです。
まとめると、投資信託の中でもトップクラスのリスクをとっていますが、それに見合うだけのリターンは得られていません。
さらに、ここから先は感覚的な話にはなりますが、これまでリターンはそれなりに出ておりこれは想定される運用結果の中でもいい方が出ているのではないかと思います。
これまでにこちらの投信が実現したハイリターンを享受した方は良いと思いますが、これから始めるのは特におすすめしません。
その理由も解説していきます。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの今後の見通し
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの中心銘柄は米国株です。
米国株は今、景気のわりに株価が高すぎますし、金利も高いです。
金利が高いと、インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドに採用されているハイテク株にとっては成長しにくく株価も上がりにくい厳しい環境が続きます。
米国株が下落すれば日本株も下落します。インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドが下落しうる材料はそろっています。
しかしながら、足元を見てもインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドは調子よく上昇しています。だからこそ怖いのです。
下がる要因は十分あるのに、今現在は株価は上がっている。つまり、これは何かあって下がった時の下がり幅がどんどん拡大している(暴落し得る)ことを意味しています。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドの値動きの大きさは先ほど指摘した通りです。
やはり、今から始めるのはハイリスクすぎるのでおすすめしないです。
わざわざハイリスクな商品を選ばなくても、安心して運用できる安定型の商品はたくさんあります。
個人的におすすめできるファンドは下記ランキングで解説していますので投資先をお探しの方はぜひそちらもチェックしてみて下さい。