以前は、個人投資家の資産運用といえば株や不動産、投資信託などしか選べませんでした。
しかし、最近では新しく登場した「ヘッジファンド」が投資先として高い評価を得ています。
ヘッジファンドはもともと富裕層向けの資産運用サービスで、欧米のそれこそ1億円~、2億円を資産運用するような超富裕層の間で選ばれてきました。
日本ではあまり見られませんでしたが、最近ようやく日本でもヘッジファンドの活躍が見られるようになりました。
ヘッジファンドへの投資はなぜ儲かるのか?日本での資産運用が上手くいく理由を解説していきます。
ヘッジファンドへの投資はなぜ儲かるのか?
それでは、ヘッジファンドの運用成績が良い理由を、投資戦略の面から見ていきましょう。
ヘッジファンドと一言でいっても様々な運用戦略をとるファンドがありますが、今回はモノ言う株主、「アクティビスト」と呼ばれるヘッジファンドについて解説していきます。
アクティビスト・ヘッジファンドの運用戦略とは
アクティビスト・ヘッジファンドは、企業の株式を数%から~数十%保有して、経営改善や株主還元の増強を働きかけて株価を上げて数カ月から数年でのリターンを目指すファンドです。
そして、アクティビスト・ヘッジファンドは基本的にバリュー投資家ですので、株価が割安に放置されている企業に投資することが多いです。
特に現金を多く保有していてキャッシュリッチな企業はアクティビスト・ヘッジファンドに狙われやすいです。
しかし、潤沢な資金がありながらそれを上手くビジネスに有効利用できておらず現金のままとなっている会社がヘッジファンドに狙われます。
それを防ぐために日本の企業はお互いに株を持ち合って何も言わないようにしようという風潮がありますが、これは不健全な状態であり日本が世界より遅れていると言われてしまう理由ですね。最近は是正されてきています。
ヘッジファンドによる企業への要求はどんなもの?
では、アクティビスト・ヘッジファンドは株式を保有した企業に対して具体的にどんな事を要求するのでしょうか。
ヘッジファンドによって異なりますが、以下のような要求が挙げられます。
- 株主還元の増強
- 株式持ち合いの解消
- 経営者の交代
- 一定のROE水準の経営を目指すなど株主利益重視の経営
- 買収防衛策の廃止
日本のキャッシュリッチ企業に対する要求では「①株主還元の増強」が比較的多いです。
これは現金として眠らせておくくらいなら、配当や自社株買いの形で株主の利益に貢献して下さい、という要求になります。
アクティビスト・ヘッジファンドの実態とは
日本の有名なアクティビスト・ヘッジファンド
日本では実際にどのようなアクティビスト・ヘッジファンドが活躍してきたのでしょうか。
いちばん有名なのは「村上ファンド」だと思います。
村上ファンドは、元通商産業省の村上世彰氏によるアクティビスト・ヘッジファンドです。2006年のニッポン放送株でのインサイダー取引で一般の人でも知る存在となりました。
しかしながら、事件のことばかりが取り上げられ、それ以外の事は詳しく知らないという人も多いと思います。
他にはどんな投資をやっているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
村上ファンドの投資事例
黒田電気
村上ファンドが黒田電気に5.3%の大量保有報告書を出したのは2014年12月です。
黒田電気が投資対象となった主な理由はこちらです。
- 総資産の内、現預金が25%と割合が多かった
- 業績が長期で低迷していた
- 安定株主比率(会社に確実に賛成するであろう比率)が27%と低かった
2017年10月に黒田電気は株式の非公開化を発表し、2018年3月に上場廃止となりました。価格は過去6ヶ月平均に約30%のプレミアムを上乗せした金額となりました。
こういった状況の中、村上ファンドは38%の株式、約323億円を保有しており84億円の利益を得たと言われています。
新明和工業
新明和工業は特装車メーカーの大手企業です。村上ファンドは2018年に24%の大量保有報告書を提出し、次の項目を要求しました。
- 発行済み株式の28%の自社株買い
- ROE8%の早期達成
- 総還元性向70%~80%の達成
株主還元を強く要求していることが分かりますね。その後、株価は上昇し2019年に村上ファンドは売却を始めました。
村上ファンドは256億円を新明和工業にわずか1年投資することで、80億円の利益を挙げたと言われています。
ヘッジファンドと個人投資家の決定的な違いとは
ヘッジファンドはなぜ安定して高利回りを実現できるのか?
運用実績を見るとヘッジファンドは安定して高利回りを出していて素晴らしいですよね。
個人投資家では同じように結果を出すのは、ほぼ不可能だと言わざるを得ません。なぜなら資金力が違うからです。
割安な株を見つけるところまでは個人でも出来なくはないですが、株式を大量に保有しなければ企業に働きかけることができません。また、価格交渉もできません。資金力の違いがヘッジファンドと投資家の決定的な違いです。
投資の順序 | ヘッジファンド | 個人投資家 |
①割安株を見つける | ◎ | △ |
②企業に株主還元や株主利益重視の経営を働きかける | ◎ | × |
③必要に応じて交渉して高値で売却する | ◎ | × |
やっぱり現実的にはヘッジファンドに任せてしまうのが一番安心で効率が良いと思います。
絶対(?)に儲かる投資手法を解説
私は投資が好きなので、個人的にも投資をしていますが、一つ裏技を紹介したいと思います。
それは、候補銘柄の株主をチェックすることです。大株主をチェックしてヘッジファンドがいるかどうかを確認するのです。
仮にアクティビスト・ヘッジファンドがいれば今後、株主還元等を会社に働きかけてくれることが予想されます。
少なくとも株主利益を追求していることは間違いないので、ヘッジファンドがいない銘柄よりも株価上昇が期待できるのです。
いいな~と思った銘柄に頼れるヘッジファンドの名前を見つけるとやっぱり安心感がありますね。
日本で活躍するアクティビストヘッジファンドの紹介
最後にアクティビスト・ヘッジファンドにはどのようなところがあるのか紹介しておきます。
日本企業に投資している主なアクティビストはこちらです。
- オアシス
- ファーツリー
- 村上ファンド
- ストラテジックキャピタル
- タイヨウ・ファンド
- エフィッシモ・キャピタル
- シルチェスター
ただ残念ながら、これらのファンドは主に機関投資家を顧客としており、個人投資家からは資金を集めていない所がほとんどです。
個人投資家からも資金を集めているアクティビスト・ヘッジファンドは数少ないです。
とは言え、特に投資が好きで自分でやりたいという想いがなければ、ヘッジファンドに預けてしまうのが一番良い運用方法だと思います。
おすすめヘッジファンドのランキングは下記より確認できますので、ぜひご一読ください。