富裕層向けの資産運用として、タクシーCMなどで知名度がぐんぐん上昇しているのが、ヘッジファンドダイレクトです。
投資助言累計額は何と1000億円ごえと非常に規模が大きい一方で、過去に金融庁から処分を受けた事もあり怪しい会社なのでは?と疑問視する人もいます。
ヘッジファンドダイレクトの本当の評判はどうなのか?白黒つけるために実際に会社を訪問して営業を受けてきました。
また他ファンドについても別記事で解説していますので良ければそちらもご覧ください。
ヘッジファンドダイレクトを訪問して営業を受けてみた
「色々噂はあるけれど、実際に営業を受けてみないと分からない。」
という事でヘッジファンドダイレクトを訪問してお話を聞いてきました。
今は引っ越されているようですが、私が訪問したときは大手町のファーストスクエアウエストタワー18Fにありました。非常に立派なところでした!
大手町は東京のど真ん中、言わずと知れたオフィス街です。こちらがファーストスクエアの入口です。
重厚な造りですね。訪問する際は当然ですが事前にホームページから問い合わせて約束を取り付けてから行きました。
入館証がないと入れないので、受付でゲスト用の入館証を受取りエレベーターで18Fへ。応接室にてご説明して頂きました。
ヘッジファンドダイレクトはどんな会社?
ヘッジファンドダイレクトは投資助言会社
それではいよいよヘッジファンドダイレクトの中身について見ていきましょう
ヘッジファンドダイレクトが営んでいるのは投資助言業です。どんなヘッジファンドに投資したらいいのか、中立の立場で投資家に助言するのが彼らの仕事です。
ヘッジファンドダイレクトのアピールする強み
ヘッジファンドダイレクトのアピールしている強みは2点です。
①国内で買えない海外の優良ファンドへアクセスできる
②中間業者を介さないためコストを削減できる
紹介されるヘッジファンドは本当に優良か?
それでは実際に紹介されるヘッジファンドはどのようなファンドなのでしょうか?
一部ファンドの詳細はこのようになっています。
ファンドA | ファンドB | ファンドC | |
リターン | 17.7% | 10.7% | 5.7% |
リスク | 28.1% | 19.7% | 3.3% |
シャープレシオ | 0.63 | 0.54 | 1.76 |
リターンを見るとファンドA、ファンドBともに10%超えと派手な成績となっています。しかしながら、シャープレシオを見ると0.63、0.54と振るわない結果となっています。
シャープレシオはリスクに対するリターンの割合で、一般的に1を超えると優秀だと言われます。
すなわち、ファンドA、Bは一見良く見えますがとっているリスクの割にリターンを得られていない運用効率の悪い商品となっています。
また、ファンドCは運用効率の観点ではシャープレシオ1.76と良い結果となっていますがリターンは5.7%に止まっています。
悪いとは言えないかもしれませんが、ヘッジファンドとしてはもう少し期待したいというところでしょうか。
ヘッジファンドダイレクトの最低出資金額は?
次は、最低出資金額についてです。ヘッジファンドは基本的に富裕層向けのサービスですので最低出資金額が高く設定されています。
ヘッジファンドダイレクトでは複数のヘッジファンドを紹介するという形式をとっていますので、どのヘッジファンドを選ぶかによって金額は異なります。
話を聞いた限りでは15万ドル程度のヘッジファンドが多かったです。
最低でも2000万円~3000万円くらいはないと投資は難しいのかなという印象です。
また、まとまった金額の資産運用については別記事でも解説していますので良ければそちらもご一読ください。
ヘッジファンドダイレクトの手数料とは?
続いて手数料についても確認してみましょう。ヘッジファンドダイレクトはあくまで投資助言会社ですのでヘッジファンドダイレクトとは別に、投資先のヘッジファンドや事務手続きを代行する行政書士への支払いも必要です。
投資開始時、運用中、解約時それぞれの段階でどれだけの手数料がかかるのかチェックしてみましょう。
【投資開始時にかかる費用】
初年度の投資助言料 | 投資予定金額の3.0%(税抜) |
---|---|
行政書士費用 | 15,000円~ |
海外送金手数料 | 4,000円~6,000円 |
【運用中にかかる費用】
2年目以降の投資助言料 | 運用残高の0.9%(税抜) |
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3年未満にファンドを変更する際の助言料 | 投資予定金額の3.0%(税抜) |
投資先ファンドの管理報酬 | 年間で運用残高の2%程度 |
投資先ファンドの成功報酬 | 運用成果に対して20%~40%程度 |
【解約やファンド変更時にかかる手数料】
取得日から1年未満 | 契約解除直前の評価額の3%(税抜) |
---|---|
取得日から2年未満 | 契約解除直前の評価額の2%(税抜) |
取得日から3年未満 | 契約解除直前の評価額の1%(税抜) |
海外からの送金手数料 | 4,000円~6,000円 |
このように費用がかかる項目は非常に多く、それらを足し合わせると手数料は決して安くない水準となります。
さらに、運用を始めてから3年未満のファンド変更や解約にも手数料がかかりますので、実質3年は資金がロックされてしまうと考えた方が安全です。
解約のタイミングは自由となっていながらも、実際は3年間は解約し辛いのも注意すべき点です。
ヘッジファンドダイレクトはなぜ怪しいと言われるのか
金融庁からの処分の実態に迫る
「ヘッジファンドダイレクトは怪しい?」
そんな疑問にお答えすべく気になる金融庁からの処分についても確認しておきましょう。
実際に処分を受けたのはヘッジファンドダイレクトの前身である「アブラハム・プライベートバンク」ですが、下記の説明では「ヘッジファンドダイレクト(旧アブラハム)」と表記しています。
(現在は、「アブラハム・プライベートバンク」から「ヘッジファンドダイレクト」に商号変更をして営業しています。)
では、いったいどんな営業をしたのでしょうか?項目としては以下の3つとなります。
①無登録販売
②誇大広告
③個別顧客への利益提供
参考:日本経済新聞
無登録販売の何が問題?
登録をせずに海外の運用会社から事実上の販売手数料を受け取ってファンドを販売していたことが問題となりました。
ヘッジファンドダイレクト(旧アブラハム)がファンド側から受け取った手数料は、投資家から受け取った助言料の何倍にも上ると言われています。
これは、ヘッジファンドダイレクト(旧アブラハム)が中立の立場で投資家のためにヘッジファンドを選んでくれるのではなく、ヘッジファンドダイレクト(旧アブラハム)に販売手数料を多く払うヘッジファンドを優先して投資家に紹介しているということを意味しています。
ヘッジファンドダイレクト(旧アブラハム)が「顧客のために中立の立場から助言する」と強みとしてアピールしている部分が根底から崩れる事件だったのです。
誇大広告の何が問題?
ヘッジファンドダイレクト(旧アブラハム)では、事実とは異なる広告を掲載していました。
●運用するヘッジファンドから手数料はもらっていないとしていたが、実際はもらっていた
●実際には紹介してないヘッジファンドの平均利回りを載せていた
●同社より低い手数料のサービスを知りながら同社の手数料を「最安値」と表示していた
ウソをつくのは投資家からの信頼を損ないます。これらは残念ながら悪質と言わざるを得ませんね。
行政処分の結果どうなった?評判は?
そして、行政処分を受けた結果、投資家はどのように行動したのでしょうか。
9割は継続し、解約者は1割にとどまったと言われています。これだけ聞くと、投資家からの信頼を得ていたように感じますが早合点してはいけません。
当時紹介していた商品が運用開始後、2年未満で解約すると積み立てた資金が戻ってこない商品だったためと言われています。解約しない人が多かったのも当然と言えそうです。
ヘッジファンドダイレクトに資金を預けるのは危ないのか?
さぁここまで処分について見てきましたが、それではヘッジファンドダイレクトに資金を預けるのは危ないのでしょうか?
結論から言うと、そんなことはありません。なぜなら、ヘッジファンドダイレクトはあくまで投資助言業であり彼らが資金を預かる訳ではありません。
さらに、投資先のヘッジファンドも分別管理をしていますのでお金が持ち逃げされるなどの心配をする必要はないと思います。
投資家の資金は運用するファンドではなく、信託銀行によって管理される。ファンドが破綻しても資金は守られる。
ヘッジファンドダイレクトに投資すべき?
このように過去の行政処分が気になる方は、投資するのは控えた方が良いでしょう。
そう思う方は、純粋に投資に関する諸条件で判断したらいいと思います。
投資する際の注意点をまとめてみました。
- 手数料の項目が多く、費用がかかる
- 3年間は手数料がかかるため解約し辛い
- 最低出資金額が約2000万円からと高額
- 海外ヘッジファンドなので為替リスクがある
- 海外ヘッジファンドに投資するので書類や手続きは英語
これらの条件もよくよく考慮した上で、リスクに見合うリターンがあるか検討してみて下さい。